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 入社後、引き継ぎのために前任の部長に会いたいと依頼したところ、部内から微妙な反応がありました。よく聞いてみると、実は前任の部長は相次ぐ人事の不祥事への対応で心が疲れてしまい、療養中とのこと。

 その業界をよく知っている人には同社の内情は有名だったそうですが、私も私を担当した人材エージェントもそのことを知らなかったわけです。あまりにも簡単に内定が出るときには何かある、と思い知りました。

 早期退職や解雇通知のように、現在の社員には荷が重い仕事を任せるために求人を出す、という場合もあります。例えば工場の縮小。3000人の従業員を2400人に削減したいが、たたき上げの人事部長では従業員との関係性が良好すぎて、厳しいことを伝えられない。人選もできない。そんなことがあります。

 地方の場合は、中学の同級生や幼なじみなどお互い知った仲。解雇を言い渡すなど、かなりメンタルの強い人にとっても難しいことです。そこで、人事部長レリーフとして解雇通知専門の特命部長が採用されることがあります。筆者も3回ほど、この役割を務めたことがあります。

 これに限らず、筆者はこれまで多くのカオス企業で働いてきました。筆者の在職中に株価が3倍になった会社が3社、いまや会社の実態がほぼなくなってしまった会社が3社です。カオスの先に何が待っているかは、誰にも分かりません。

 これを読んでカオス企業に興味を持つか敬遠するかは人それぞれでしょうが、少しでも関心がある方は、新聞の一面にネガティブな報道をされた企業からエントリーしてみるのはいかがでしょうか。入社するかどうかは、内定が出てから考えてもよいのです。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルティングを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。