「いい年してどうして転職なんてするの」「今は転職するときじゃない」「今の会社で頑張った方がいいんじゃない」――。人材エージェント(人材紹介会社)に登録して面談したコンサルタントから、こんな説教をされる技術者がいます。

 人材紹介が仕事のコンサルタントがこんなことを言うわけがない、と思うかもしれませんが、本当にいます。実際に、筆者も何度か出会いました。自分が扱っている案件にそぐわない人材に早く転職を諦めさせたいのかもしれませんし、ときには正論も含まれています。とはいえ本人は転職したくて相談しているのだから、まずは話を聞いてほしいものです。

 技術者の中には、運悪くこうしたコンサルタントに当たってしまい、立て続けに説教されて転職自体を諦めてしまう人もいます。しかし、こういうコンサルタントもいるのだ、と思って、聞き流すのが吉です。

 一度転職を決意したなら、自分の意思はしっかり持ってください。言い方を変えれば、人材コンサルタントに2~3回説教されたくらいで転職を諦めるのなら、転職活動のスタートラインにも立てなかったのだ、と考えましょう。

人材コンサルの4タイプ

 説教好きのほかにも、人材コンサルタントには様々なタイプがいます。ここでは、コンサルタントの代表的な4種類のタイプを紹介します。これを押さえておけば、コンサルタントにむやみに振り回されることを避けられます。自分に合うコンサルタントを見極めやすくもなるでしょう。

(1)オレ様タイプ

 一番押しが強いタイプです。自分が進めたい求人案件を優先し、それにマッチする転職希望者を見つけたら、積極的にコンタクトを取ってきます。企業の採用担当者にも、その候補者の採用を熱心に働きかけてくれます。

 その分、内定が出たときの熱意も強烈です。内定者に考える時間は与えず、「とにかく入社しろ」とプッシュしてきます。

 オレ様タイプが頼りになるのは、志望企業が明確に定まっていて、その企業への応募を支援してもらうケースです。転職先に関して強い希望がなく、コンサルタントに全て任せたいという人も、オレ様タイプなら強くリードしてくれるでしょう。

 ただ、いろいろな企業を比較しながら自分に合うところを見つけたい人には、お勧めできません。コンサルタントに細かいリクエストをしたい、こまめに相談に乗ってほしいという場合も、別のタイプを探した方がよいでしょう。

(2)分析家タイプ

 データベースでの条件マッチを重視するタイプです。希望の職種や業界、待遇などを伝えると、求人データベースを検索して条件に合う案件を紹介してくれます。オレ様タイプのように自分が進めたい案件を優先するのではなく、客観的に合いそうな求人を探してくれます。

 このタイプは、「条件がマッチしなければ無理」と考えがちです。年齢をはじめ、各種条件が少しでも合っていない案件は、紹介してくれない可能性が高いのです。「条件はやや一致しないが、面接で直接話したらうまくいくかもしれない」といった柔軟な対応は期待できません。転職の条件が厳しくなる40~50代には、難しいタイプです。

(3)おおらかタイプ

 おおらかで面倒見が良く、いろいろと親切に教えてくれるコンサルタントです。選考で不採用になることがあっても、飲みに連れて行ってくれ、元気づけてくれます。

 注意点は、大げさな話をする傾向があること。業界の主な案件はたいてい知っている、あの会社の人事部長とは仲が良くてよく面倒を見てやっている、自分が話をすればどうにかなる、などなど。頼もしい発言が多いのですが、真偽が疑わしい話もあります。うのみにするのでなく、きちんと確認しましょう。

 このタイプには、おおらかゆえに、書類の提出など細かな事務作業が疎かな人が見られます。几帳面な採用担当者が窓口になっている企業とは、折り合いが悪くなりがちなのも難点です。

 面倒見が良いのと、確度の高い転職先を紹介してくれるのとは別の能力です。おおらかタイプだけに頼っていてよいのかは、見極めが必要です。

(4)いやしタイプ

 転職活動の愚痴を聞いてくれるなど、家族以上に親身に相談に乗ってくれるタイプです。面倒見の良さはおおらかタイプと同じですが、より傾聴能力に長けているのがいやしタイプの特徴です。転職希望者の話にじっと耳を傾け、心を整理する手助けをしてくれます。

 このように人間的にとても優しいのですが、人の良さゆえに、求人側にも転職希望者を強くプッシュできない傾向があります。コンサルタントに強くリードしてほしい人にとっては、頼りなさを感じてしまうかもしれません。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。