転職を考えるとき、武器になるのは「これまでの職務経験やスキル」だと考える人は多いでしょう。もちろんそれは重要ですが、これからは「社会人になっていかに学び直したか」も大切になります。
社会人の学びは「リカレント教育」などと呼ばれます。学校を卒業して就職した後も、折に触れて大学などで学び、新たな知識やスキルを身につけます。産業構造が大きく変わる中で、こうした学びはこれから一層求められてくるでしょう。
日本経済団体連合会(経団連)が2021年2月16日に公開した「大学等が実施するリカレント教育に関するアンケート調査」の結果報告を見ると、リカレント教育に対する企業の関心度が分かります。「現在、大学等が実施するリカレント教育プログラムの受講を指示・奨励していますか」という問いに対して、回答企業の41.5%が「指示・奨励している」と回答しました。
これを多いと見るか少ないと見るかは人によるでしょう。ただ「大学等が実施するリカレント教育プログラムを社員に受講させることに関心がありますか」という問いには89.2%が「関心がある」と答えており、多くの企業が興味を持っているといえます。特に、特定業務に必要な専門知識や技能の習得に期待を寄せる企業が多いようです。
具体的には、IT関連、データサイエンス・統計などが年齢に関係なく期待されています。日経クロステックの読者には関連の深い領域ですが、今後は業種や職種にかかわらずこの領域のスキルが求められるということでしょう。
新たな知識を習得するだけでなく、本業で取り組んでいる内容を学び直すこともできます。実務を通じて得た経験を学問で整理することで、高度なノウハウとして身につくでしょう。
経験に学問的裏付けが加わることで、後輩に指導する際も説得力が増します。外部コンサルタントの協力を得る際も、より高いレベルでコンサルタントの知見を活用できるでしょう。
もちろん転職にも役立ちます。採用面接の場で、面接官に対して納得感の高い説明ができるようになるでしょう。入社後にも、学習の成果は発揮されるはずです。