新型コロナウイルス感染症は、依然として転職市場に暗い影を落としています。帝国データバンクが2020年7月9日に発表した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2020年6月)」によれば、自社の業績に「マイナスの影響がある」と見込む企業は84.5%に上りました。
この数字自体は、2カ月連続で減少しています。前月からの変化を細かく見ると、「既にマイナスの影響がある」(66.6%)が3.8ポイント増加し、「今後マイナスの影響がある」(17.9%)が5.4ポイント減少しました。厳しい状況であることは間違いありませんが、厳しいなりにも「このコロナ禍をどうやってしのいでいくか」という方向性を見いだしつつある企業も増えているのではないでしょうか。
転職を検討している人は、各社がこのコロナ禍にどう対処しているかをよく観察しましょう。この状況下でも企業経営が堅調だった業界については、他業界で働いている人にもウオッチしていただきたいと思います。
もちろん、現時点で安定していても将来が保証されているわけではありません。ただし、今回のような非常事態は「どんな場面で、どのような企業が底力を発揮するか」をつかめる機会です。その勘所を押さえておくことは、転職のセンスを磨くのにも役に立ちます。
小売業界が転職先になる?
先ほどの帝国データバンクの調査によれば、新型コロナウイルス感染症によって業績に「プラスの影響がある」と回答した企業の割合が最も多かったのは、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」で28.6%でした。2番目は「電気通信」の20%、3番目は「飲食料品小売」16.4%です。
各種商品小売の代表格がニトリホールディングスです。20年3~5月期(第1四半期)の連結決算(6月25日発表)では、純利益が前年同期比25%増です。3~5月の3カ月は新型コロナの感染が拡大した時期で、外出自粛の影響で消費全体が低迷しました。そんな中、同社は大幅な増益を達成しました。