その場でBさんは、会社にとって必要な役割を自分がいかに果たせるかを説明しました。その結果、社長に「この人が必要だ」と感じてもらうことができ、見事、転職を決めました。しかも、50代半ばで年収アップ。その企業がもともと出していた求人よりも、高い金額でした。

根拠がない年齢制限を打ち破る

 Bさんの事例を詳しく分析すると見えてくるのは、年齢と役割・責任のバランスが分かっていない経営者が意外に多いことです。人材を採用した経験が少なく、さらに自分よりも若い世代の社員が多いといった経営者の場合、40~50代を採用したらどんな業務を任せられるか、どんな役職が適切なのかのイメージが持てません。入社後に扱いに困るのではないかと懸念し、「30代以下」のようにあまり根拠のない年齢制限をかけてしまいます。ITベンチャーや中小企業などによくあるケースです。

 こうした会社の場合、直接経営者に会って役割や責任についてすりあわせすれば、年齢に関係なく採用される、といったことも少なくありません。Bさんが、まさにそうでした。

 Bさんにはこれ以外にも、素晴らしいところがありました。まず、常に勉強し続けていること。英語にISO(国際標準化機構)の審査員、次々に登場するIT資格など、よくそれだけ勉強意欲が続くなと感心するほどの熱心さです。

 こうして取得した資格の多さが、書類選考で評価されたのではありません。企業が見ているのは、年齢に関係なく、絶えず学び続ける姿勢があるかどうかです。Bさんの勉強熱心さを見れば、この人を採用したら意欲的に仕事を覚えてくれそうだ、学ぶ姿勢があるから新しい仕事も安心して任せられそうだ、と思えます。年齢が上がるほど過去の経験にしがみつき、楽をしたがる人が多い中、Bさんのような資質は貴重です。

 さらにBさんは、人脈を広げる努力も欠かしません。様々な場所に積極的に顔を出し、人とのつながりを作っています。年齢にとらわれず多くの人と触れ合っているからこそ、積極性を常に保てるのかもしれません。転職時も、その人脈やコミュニケーション能力が、経営者から評価されたと考えられます。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。