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 一家の家計を1人の収入で支えるのは難しい時代といわれています。パートナーがいる人は、転職の戦略もパートナーと一緒に考える必要があるでしょう。パートナーがどのような場所で、どんな条件で働くのか。それは、あなた自身のキャリアを左右します。

 消費増税やコロナ禍で、雇用はずいぶん不安定になってきました。転職を考える際は1人で悩むのでなく、是非パートナーとしっかり話し合い、検討されることをお勧めします。

生涯賃金に2億円の差

 とても興味深いデータがあります。以下は、厚生労働省が公開する資料の抜粋です。内閣府が2005年にまとめた国民生活白書のデータを基に、妻が就労を継続した場合とそうでない場合の生涯賃金を比較しています。

妻の就労継続による家計のメリット
妻の就労継続による家計のメリット
(出所:厚生労働省「男性の育児休業取得促進 研修資料-中小企業における取組推進のために-」、2017年10月作成、2018年10月改訂)
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 育児休業を2回取得して働き続けた場合と、出産をきっかけに専念しようと退職してパート・アルバイトをした場合との差は、なんと2億円です。これは少し古いデータですが、今はさらに大きな数字になっているのではないでしょうか。

 もちろん、2億円の有無など気にならないほど家計に余裕があれば問題はないかもしれませんが、一般の家庭はそうではないでしょう。先ほどのグラフは妻の就労に関するものであるため女性向けだと思われるかもしれませんが、特に男性の方にしっかり見ていただきたいデータです。

 リスク管理の意味でも、パートナーと2人で働くことには意義があります。1人の収入に頼っていては、その人に想定外のことがあった場合、一気に家計が成り立たなくなります。本連載でもたびたび触れていますが、安泰に見える大企業に勤務していてもいつ早期退職の対象になるか分かりません。

 賃金だけでなく、会社勤めはいざというときに得られるメリットが少なくありません。健康保険や年金などです。仮にブラック企業で働いていても、雇用保険のベネフィットは誰でも享受できます。