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 そのマンションを購入した頃は、100m2前後のマンション、駅から遠いけれど専用バス付き、といった物件が話題を集めていました。流行に乗ってこうした物件を購入していたら、売却は厳しかったかもしれません。また、何年も熟慮を重ね、やっとためた頭金をつぎ込んで購入したマンションだったら、思い入れが強くてやはり売却できなかった可能性があります。

会社員でなければローンが組めない?

 住宅については、「会社員でなくなったら住宅ローンが組めない」と思い込んでいる人もいます。将来はどうなるか分からないから、会社員のうちに購入しておこうというわけです。

 実際には安定した収入があれば会社員でなくても住宅ローンは組めます。審査が厳しかったとしても、金額を抑えれば借りられるかもしれません。住宅情報サイトで「東京駅まで1時間、駅から徒歩15分、1000万円以下」でマンションを検索すると、本稿執筆時点で50件近くがヒットしました。築年数はかなりたっていても、リノベーションされた物件ばかりです。

 仮にローンが組めなかったとしても、賃貸住宅に住めばよいだけの話です。まるで住むところがなくなるかのように考えている人がいますが、持ち家がなければ余計な悩みから解放されるという側面もあります。

 さらに、住宅は購入して終わりではありません。住宅ローンだけでなく、管理費や修繕積立金など、毎月何らかの支払いが発生します。さらに年に1度、固定資産税も支払わなくてはなりません。これらの合計額を確認したことはあるでしょうか。実はかなりの金額になります。

 今回は、住宅の購入が自身のキャリアに大きな影響を与えるという話を取り上げました。「持ち家があれば生活が安定する」などと言われることもありますが、それが本当かどうかは分からなくなってきたと感じています。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。 アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/