全1636文字

 「転職したいと思ったことがある」人は、67%。マイナビが2021年8月4日に、「マイナビニュース」会員318人に対して実施した調査の結果です。この数字は筆者の実感とも合致します。

関連記事 「転職したいと思ったことがある」は67% - 最大の理由を聞いてみた

 興味深いのは、転職を考えた理由に関する自由回答です。最初に挙げられているのは、給与に関するコメント。給与が安い、減ってきたといった理由で転職を考える人はたくさんいます。最近でいえば、コロナ禍で残業が少なくなった、業績悪化で賞与が減ったなど、自分の努力ではどうにもならない状況に困っている人も多いでしょう。

 しかし、残業代込みの生活設計はもともと危険です。賞与も、業績によって変動します。住宅ローンの返済計画を組む際に「ボーナス払い」の比重を高くする人がいますが、これから住宅購入を検討する方は避けたほうがよいのではないかと思います。

 筆者は労働組合がある会社で働いた経験が少ないので、残業代や賞与を計算に入れて生活設計をしたことはありません。マンション購入時も、ボーナス払いの金額は10万円にしていました。仮に賞与が支払われなくても、副業などで稼げる金額の上限が10万円だと考えたからです。

 残業代や賞与ではなく、基本給の安さが転職につながることもあります。特に「競合と比べて安い」「他業種はもっと高い」など、他と比べて不満を抱いている人は多いでしょう。

 では、他社の給与額をきちんと理解しているでしょうか。筆者の経験では、具体的な金額も調べずに「あの業界は給与が高い」などとうらやんでいるケースは少なくありません。

 調べる材料は、転職サイトや転職情報誌、業界研究本などいくらでもあります。より詳しく調べると、もっと具体的な情報にもたどり着けるでしょう。実は、在職中の会社のほうが処遇が良いことが分かるかもしれません。

会社がパワハラ体質なのか、個人の相性の問題か

 マイナビの調査では、転職を考えた理由として「パワハラや嫌がらせをうけた」という回答も多く見られました。ハラスメント系の理由での転職は、筆者のところにもよく相談があります。その際に筆者が確認するのは、それが会社全体の問題なのか、それともたまたま上司と部下の組み合わせが悪かったのか、です。