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「就職氷河期世代」限定の採用も

 雇用動向調査結果でもう1つ注目したいのが、雇用形態です。2018年の転職入職者の「雇用形態間の移動状況」を見ると、「雇用期間の定めなしから雇用期間の定めなしへ移動」した割合が45.3%と半数弱を占めます。「雇用期間の定めなし」は正社員としての雇用と言えますので、正社員から正社員への転職が多いことが分かります。ただし前年と比べると、3.8ポイント減少しています。

 「雇用期間の定めありから雇用期間の定めなしへ移動」は前年比1.0ポイント減の9.0%。「雇用期間の定めありから雇用期間の定めありへ移動」は同4.4ポイント増の27.5%でした。この調査の結果を見る限り、非正社員から正社員への転換が進んでいるとは言えないようです。

 派遣社員や契約社員といった働き方が本人の希望であれば、もちろんそれで良いでしょう。しかし筆者としては、少しでも正社員で働きたい希望がある人は挑戦することをお勧めしています。

 筆者は正社員経験がない派遣社員や契約社員から相談を受けることがありますが、最も多いのは「私は正社員として働いたことがないけれど、不利ではないか」という質問です。この心配が大きすぎて、正社員募集に応募さえしない人が結構多くいます。

 身もふたもないようですが、採用の可否は採用側が決めることなので応募してみなければ分かりません。筆者は、尻込みせずどんどん応募してみてはとアドバイスしています。

 最近では、40歳前後の採用を行政が支援する動きもあります。例えば兵庫県宝塚市は、36歳から45歳まで、いわゆる「就職氷河期世代」に限って正規職員を採用する取り組みを実施しています。「神戸新聞NEXT」の報道によれば、2020年1月入職で3人の定員に対し、出願受付開始から5日間で200人超の応募者があったそうです。

 高倍率でハードルが高く見えるかもしれませんが、応募してみなければ結果は分かりません。今後、こうした募集は増えてくると考えられます。今がチャンスと考え、挑戦してみてはいかがでしょうか。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。