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 筆者のところにくる転職相談でよくあるのが、退職金や賞与に関するものです。その中に「12月の賞与をしっかりもらったうえで年内に退職。翌年1月に転職先に入社したい」という人がいます。そのためにはどんな段取りで進めればよいか知りたい、というわけです。

 現職で自分がすべき仕事を完了しつつ、賞与をしっかり受け取り、有給休暇もきれいに消化して気持ちよく退職するには、確かにきちんとした計画が必要です。いつ上司に退職意向を伝えるのか、どのように引き継ぎをするかといったことを考えておかねばなりません。

 悩むのが、上司に「退職したい」と伝えるタイミングです。賞与を受け取ってから辞める場合、少しでも多く欲しいと思うのは当然です。早く退職を伝えると、悪い評価をつけられて賞与が下がるのではないかと心配になります。一方で賞与をもらってから退職意向を告げるのも気が引けるという人もいます。いざ退職となると、いろいろと悩むものです。

 今回は、12月上旬の賞与支給の後に辞める場合を例に、上司にそれを伝えるシミュレーションをしてみましょう。伝えるタイミングとして3パターンを想定し、それぞれについて考えてみます。

早めに伝えて、余裕を持って退職する

 退職時期を12月末として、その1カ月半前、つまり11月中旬までに伝えるパターンです。退職意向を伝えるタイミングとしては王道でしょう。

 11月中旬に伝えて、会社が決めた条件で賞与を受け取る。その後退職の挨拶をし、有給休暇を消化して12月中旬には最終出社日を迎える。これならば、退職する側も送り出す側も余裕があってよいでしょう。コロナ禍にあっては送別会の開催も難しいと思いますが、オンライン飲み会など企画してくれるかもしれません。

 年末も押し迫った時期に最終出社日を迎えると、同僚は業務が忙しくてそれもままならないことがあります。オンラインのチャットで「ありがとうございました」だけで終わるというのは、さすがにさみしいのではないかと思います。

 ただ、11月は12月の賞与評価をしているタイミングと重なる可能性があります。上半期に十分な成果を上げた人でも、退職することを告げたら評価を据え置かれたり、下げられたりするというケースもないとはいえません。

 これは、ある程度諦めるしかないのではないかと思います。自分の想定より評価が1つ下がっても、賞与額が100万円以上変わることはまずないでしょう。それよりも、余裕を持って退職して新天地に向かうことを重視したほうがよいのではないでしょうか。