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グループ会社で異なる風土を味わう

 では、どこに異動したらよいのか。これまでの仕事と無関係な部署への異動希望を出す方法もありますが、従来のスキルを生かすなら、異なる事業部や事業所で類似の仕事ができそうなところを狙うとよいでしょう。

 グループ会社もお勧めです。同じ会社名が付いていても企業規模が違うと、似た仕事でも求められる業務やスキルの幅が異なります。組織風土や仕事の進め方、さらに社員の属性や意識にも違いがあります。

 このように、今まで常識だと思っていたことが通じない世界を体験できる、それが異動による疑似転職なのです。

 グループ会社への異動は「出向」とされ、ネガティブに捉えられる会社もあるでしょう。しかしその程度のことでくじけるようでは、本当の転職のときに発生し得るリスクを受容できないかもしれません。思い切って異動してみたら、以前よりやりたいことができた、職場の仲間とも気が合ったというプラスの結果になる可能性もあります。

「自分がいなくなると業務が回らない」との思い込みを捨てる

 同じ部署に長くいる人は、「自分がいなくなると業務が回らなくなるから、異動できない」と考えがちです。まずは、その思い込みを捨てることから始めましょう。

 上司も多くの場合、同じような思い込みを持っています。今うまくいっているのに、あえて異動させてリスクを負いたくないとの思いもあります。ですからよほどアピールしない限り、部下を長く手元に置いておく傾向があります。

 ですから異動希望を出す際は、「自分がいなくてもこの部署は回る」ことを自分と上司に言い聞かせましょう。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。