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 まず1位の「仕事の幅を広げたい」について。仕事の幅といってもさまざまあります。仕事のレベルを上げたいのか、仕事のバリエーションを増やしたいのか、もっと責任のある仕事をしたいのか。どれに当たるかを考えましょう。

 次に、それに該当する仕事をしている先輩や同僚はいるでしょうか。自部署では無理でも、「希望する仕事の幅」を満たしている他部署はあるでしょうか。それがあるなら、転職ではなく異動の道を探ってみるのも一つの方法です。

 2位の「会社の将来性に不安を感じる」に当てはまる人は、どういう不安を抱いているかを自問してみましょう。給与、人間関係、コンプライアンス、財務状況などいろいろな要因が考えられますが、どれに最も不安を感じているのでしょうか。自社で働いている限り解消できない不安ならば、転職に踏み出してもよいでしょう。

 なお、同じような不安を抱いて会社の愚痴をこぼしている人、悲観的な発言を繰り返す人は周囲にいませんか。以前も本コラムに書きましたが、筆者が他社に転職する際に「いつか私もこの会社を辞めるよ」と言ってきた人のほとんどは辞めずにその会社に留まっています。もしそうした人の発言に影響されて不安になっているのなら、一度冷静に考え直してみましょう。

 3位の「自分のスキル・能力が活かせない」と同じ思いを抱いている場合は、自分の能力を客観的に評価してみましょう。あなたがいう「能力」とは既に保有しているものでしょうか、それとも将来身に付けたいと思っているものでしょうか。

 転職希望者によくあるのは、まだその能力は十分に身に付けておらず「これから伸ばしていきたい」というスタート地点のような段階です。そうした場合、それで本当に転職ができるのかを検討したほうがよいでしょう。

 既にその能力を保有しているなら、現在の勤務先の人事部にまず申告してみる方法があります。生かせる部署があれば異動させてくれるかもしれません。逆に「その能力を生かせる部署はない」と言われたら、転職活動をして志望先の企業に評価してもらいましょう。

 このように書くと問い詰めているように思われるかもしれませんが、決してそうではありません。転職願望が漠然としている人に具体的な問いを重ねることで本人の状況が明確になり、不幸な転職を減らしたり、転職による経済的リスクを回避したりできるのです。

 まずは以上を参考に転職願望のセルフチェックを実施し、自分の現在地点を確認されることをお勧めします。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。 アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/