転職活動でもオンライン面接が真っ盛りです。面接の仕方が変わっただけでなく、入社までに企業を訪問する機会がかなり減ったのが、大きな変化といえます。内定を得た後に社員に会って話を聞き、入社に対する納得度を高めることも、このコロナ禍ではなかなか難しいでしょう。
そうなると、転職先のリアルな情報をいかに集めるかがこれまで以上に重要になります。取引先や業界他社など知っているつもりの会社に転職するケースも多いでしょうが、注意が必要です。
知り合いが話す社内事情をうのみにしない
例えば取引先への転職。取引先の担当者から聞いたパラダイスのような話をうのみにして転職してみたら、自分とは全く合わない会社だった――。こうしたケースは意外に多いようです。ある人が「働きやすい」と言う会社が、他の人にとっても働きやすいとは限らないのです。
自分を誘った担当者が、自分の入社後に辞めてしまうこともあります。実はその人自身が転職を考えていて、後釜を獲得しようと自分に声をかけたというわけです。こうした場合は、良い話ばかりをしてくるでしょう。
転職先の常識や企業風土は、会社によってさまざまです。企業風土とは会社の雰囲気のことですが、同業であってもずいぶん異なります。自分が思い描いていたものとはマッチしないことも多くあります。企業風土が合うかどうかは、その会社で働き続けるうえではとても重要なポイントになります。
ある鉄道会社2社が、現場の社員同士で技術交流会を実施したときの話です。大手A電鉄の社員は、集合5分前におそろいの作業着を着て集まりました。一方、地域密着型のB電鉄は各職場で日常着用している作業着を身に着けていました。このため、B電鉄の社員の服装はバラバラだったそうです。
A電鉄にしてみれば、他社との技術交流ならば「服装は統一しなくてはならない」というのが常識でした。しかしB電鉄の常識は「自社の技術をしっかり紹介するのであれば、作業しやすい普段の作業着が最も適している」というものでした。
同業であっても常識や企業風土が異なることが分かる好例です。転職後の仕事内容が同じだったとしても、どちらのほうが心地よく働けるかは人によるでしょう。