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 「ほう、〇〇さんは、ラグビーを昔からされているんですね」「今年のワールドカップはどこの国が優勝するんでしょうね」など、あなたが話しやすい話題を振ってきます。

 「え、ラグビーお好きですか?」とこれに食いつき、自分のラグビー歴を披露し始めたり、今年のワールドカップの分析を語ったりする人がいます。得意なテーマや好きなテーマほど応募者も冗舌になりますし、心の中では「面接官もラガーマンに違いない」「ラガーマンという点を既に評価されているのだろう」などと勝手に思い込んでしまいます。「面接でうまくしゃべらなければ」という気負いがある分、普段よりも頑張って話そうとします。

 気づいたら、本来予定されていた40分の面接時間のうち10分をアイスブレークの世間話に費やしてしまった、ということになりかねません。面接官が慣れていれば適切に話題を切り替えられるでしょうが、未熟な場合はそうもいきません。ラグビーのテーマを振ってしまった自分を反省しつつ、残り少ない時間で必要事項をどう聞き出せばよいかヒヤヒヤしているのではないでしょうか。

 このように、アイスブレークで世間話や自分が関心のあるテーマで会話が始まったとしても、それに乗ってとことん話してよいわけではありません。面接官の反応を見ながら少しずつ回答し、これはアイスブレークにすぎないのか、本来の面接に関連した質問なのかを見極めましょう。仮にアイスブレークの話題なら、2~3回の会話のやり取りで、いったんはその話題を引っ込めた方がよいでしょう。

 アイスブレークの深入りは禁じ手です。アイスブレークは面接だけでなく、日常の業務でもよく行われます。筆者もクライアント訪問時に様々なアイスブレークを活用していますが、ついつい、クライアントに話を振りつつも自分がおしゃべりをしすぎてしまったり、本論の時間をアイスブレークが使ってしまって打ち合せが尻切れとんぼになってしまったりします。

 ちなみに筆者は様々な企業の人材開発担当者と話す機会がありますが、ラグビー経験者と野球経験者にそれぞれのスポーツの話題を持ちかけると、ラガーマンの方が熱く語るような気がします。ワールドカップも決勝リーグが始まると、アイスブレークで打ち合わせが終わってしまう可能性があるかもしれません。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。