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「オワコンだ」と言う本人がオワコン?

 最後にお伝えしておきたいのは、「うちの業界はオワコン」と話す知人がいた場合、本人がオワコンである可能性があることです。自分たちのことを斜陽産業といいながら、他業界からの新規参入を防ごうとしているケースがあります。

 知人が言う「オワコン」とは何を指しているのでしょう。「20年前に自分たちが入社したときの40~50代ほど待遇が良くない」「20年前ほど人気ランキングが上位ではない」「20年前は自社製品が市場を独占していたが、新興企業の台頭によってシェアが下がっている」などがあります。

 このように「昔ほど楽して仕事ができないから、自分たちはオワコンだ」と言っているにすぎないケースはよくあります。ですから知り合いの話はひとまず話半分で聞いておき、自分が関心があるのならどんどんエントリーしてみてはどうでしょうか。

 早期退職や倒産解雇など明るい話題が少ない状況では、「あの業界はやめたほうがよい」「この職種は将来がない」などという話が飛び交うものです。そのままうのみにして、やる気を失うのはもったいないことです。

 筆者は研修講師を手掛けていますが、講師という職業は2000年ごろにeラーニングが登場したときから20年間、なくなる商売だといわれてきました。しかし2020年の今も、こうして無事に仕事を続けています。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/