転職活動で内定を得た人の中に、「新天地で自分の能力を発揮できるのか」という不安を訴える人がいます。技術者の場合は特に、前職で培った知識やノウハウといった専門性を買われて採用されるわけですから、受け入れ側の期待は相当高まっています。

 熟練したベテラン技術者が大量退職し、さらに若手も少ないといった年齢構成の現場では、30代の中途採用者に過大な期待が寄せられることもあります。昨今の人手不足を受けて、中途採用者に5人分くらいの働きを期待するといったことも当たり前にあるようです。

 そうした環境に飛び込んで、右も左も分からない中、本当に自分のやりたい仕事に携われるのか。職場の期待に応えられるのか。そんな悩みを抱える内定者は少なからずいます。

「前職では」が反感を買う

 実際に、中途入社した会社にうまくなじめないことはあります。私がよく目にするのは、最初に気負いすぎてしまうケースです。

 中途入社では、最初に「お待ちしてました」「前職での経験をフルに生かしてください」といった言葉を掛けられることがあります。この言葉が、実は要注意です。

 待ち望まれていたという誇らしさと、「前職のノウハウや知見を生かさなくては」というプレッシャーとで、「前職ではこうでした」「前職と比較すると課題が多い」などといった発言をしてしまいがちです。大手から中小企業に転職した人の場合、前職の元請け企業と現職を比べるようなことを口走ってしまうこともあります。こうした前職に関する発言が、転職先の社員の反感を買ってしまいます。

 やる気のある人ほど、こうした状況に陥りがちです。できるだけ早く職場になじもう、役に立とうとするあまり、自分のこれまでのノウハウを周囲に頑張って伝えようとします。それを必要としている人だけでなく、聞く気がない人までつかまえてくどくど説明したりすると、厄介者だと思われてしまいます。

 こうしたタイプの人は、3カ月後くらいになんとなく孤立感を感じ始めます。半年ほど経ったころ、業務でトラブルを起こしたタイミングで、反感を持っていた社員に厳しい突き上げをくらう――。そんなケースをよく耳にします。