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 例えば通信会社の場合。「関心がある業界を3つ挙げてください」と尋ねて、応募者が「鉄道、金融、ITです」と答えたら、この時点で違和感を覚えます。

 人間は緊張下の会話ほど取り繕えず、無意識に地が出ると言われています。この質問だけで、1番に意識しているのが鉄道、2番目が金融、通信会社が属するITが3番目であることが分かります。もちろん、たった1つの回答だけで不採用という判断は下しませんが、「ひょっとしたら自社の優先度は低いかもしれない」と疑念を持たれる恐れがあります。

 いったん疑念を持った面接官は、それが当たっているかを確認しようと質問を重ねます。結果、応募者の入社後の将来像や希望を確認する質問にたどり着くまでに時間がかかります。

 残り2つの質問も、その会社の業界や事業内容について知識がなければ答えられません。何とか取り繕っても、面接官に深掘りされるにつれてボロが出てしまうでしょう。

面接官の前でしどろもどろに、準備不足が露呈

 自分の経験や性格といった現在価値は、全く準備していなくても、自分のことですから多少たどたどしくても答えられます。ただ、将来価値はそうはいきません。応募先の企業や業界に興味を持って調べ物をするなど、準備の時間や手間がかかります。働きながらの転職活動では、そのための時間を捻出することも難しいでしょう。

 それでも熱意を持って準備に手間をかけるかどうかで、面接の成否は分かれます。準備不足は、面接官の前でしどろもどろになるという形で露呈してしまうのです。

 このように、将来価値はあなたがどれだけ応募した企業に関心があるかを判断する材料です。手間をかけて情報を集めれば、本当に関心があることをアピールするチャンスになります。中途採用だからこそ、応募する業界や企業の最新情報を収集し、そこから自分の働く姿を描いた上で面接に臨むことが必要です。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。