評価といっても、職務経歴書を見てもらうわけではありません。「今、これからの働き方について考えているんだけど、率直な意見をもらえないかな」などと伝えた後に、「これまで自分と一緒に仕事をしてきて、良いと思った点は」「逆に、これは直した方がよいと思うところはどこか」と聞きます。

 この作業をすることの目的は、仲間からの嘘偽りのないフィードバックを受けて、自分の長所について改めて自信を持つことです。もちろん改善すべきところも把握できますが、それ以上に、自分の良いところを認識できます。履歴書に書いた内容に自信が持てますし、新たに書き加えるべき強みを発見することもあるでしょう。

 こうしたフィードバックを、多くの人からもらいましょう。私がお勧めしている人数は30人です。そのうち特に距離の近い10人からは真剣に意見を聞き、残りの20人からは雑談程度に意見を聞くなど、相手によって強弱を付けます。30人は無理だと思う方も、できるだけ多くの人から意見をもらった方が、自分の自信を深めやすくなります。

 なお、家族や友人は対象外です。こうした人はあなたの人柄は知っていても、働きぶりは知らないはずです。転職は仕事にかかわることですから、仕事で関係したことのある人に協力を仰ぎましょう。

「働くこと」を真剣に語り合う

 この方法は、私自身が転職の際に実践してきました。自分では気づかなかった職務経歴書の強みを知って自信を持ったり、さらに内容を充実させたりしました。多面評価の結果、いったん転職活動を停止して、現職の仕事に注力したこともあります。

 転職には直接結び付かなくても、こうした対話を通して「働くこと」を真剣に語り合える仲間ができました。対話の中から、「仕事のやりがい」を見つけられたことも良かったと感じています。

 多面評価で注意しなければいけないのは、フィードバックをもらった人から、転職活動をしようとしていることが会社にばれる可能性があることです。つまり、相手を選ぶ必要があります。言い方を変えれば、「働き方について真剣に相談できる仲間」をたくさん持つスキルも、転職を成功させるためは必要だということになります。

 最後に、キャリアを診断するツールは世の中にたくさんあります。しかし、自分の仕事に関係した人からもらうフィードバックほど、有効なことはないと私は思います。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。