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自分史という名のマスターを作ろう

 異動履歴だけでなく、ちょっとした“自分史”を作っておけるとさらによいでしょう。自分史とは、入社から今までの職歴を所属部署や所属企業ごとに年表のように記載したものです。大きな表彰からちょっとした部門表彰、成果なども細かく記入しておきます。

 これが履歴書や職務経歴書作成のマスター(基本情報)になります。マスターを作成してから応募職種に応じて強調したい部分を残し、あまり関係ないものや古すぎるものを削除して提出すればよいでしょう。

 注意点は、マスターをそのまま職務経歴書として提出するのはやめるべしということです。自分が頑張ったことや成果、それによって得られたものなど、内定につながる可能性があるならとにかく盛り込もうと思う気持ちは分かります。求人環境が厳しくなればなるほどそうした気持ちは強くなり、何枚にもわたる職務経歴書を作成してしまいます。

 しかし、応募企業に提出する職務経歴書は2~3枚が上限といわれています。その分量があれば応募職種に対して見合う経験があるか判断できますし、能力やスキルについては面接で確認すればよいからです。

 職務経歴書は面接の際の基礎資料にもなります。面接時間も限られていますから、応募職種に関係がない職歴や20年前に部門表彰をされた功績などが記載されていても、そこに触れられることはないでしょう。応募職種の選考に必要な情報をマスターから選び、強弱を付けて記載することが重要です。

 強弱を付ける作業ができるのは、マスターがあればこそです。全体がまとまっているからこそ、どれを強調してどれを捨てるか、どの部分を詳しく説明するかを検討しながら修正できるのです。

 第三者に相談しやすいというメリットもあります。筆者もよく転職希望者の職務経歴書に対してアドバイスをすることがあるのですが、マスターを作成してから相談に来てほしいとお願いしています。情報量が多ければ、その応募職種に合わせてどの部分を強調すればよいかアドバイスできるからです。マスターの情報から、現在の希望職種以外の適職を提案することも可能です。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/