前回、転職活動に3カ月間集中して取り組むことの利点を説明しました。では3カ月活動するとして、1年のうちどの時期を選べばよいのでしょう。

 企業の採用意欲が何月に高まるかは、断言できません。新卒採用と異なり中途採用は通年で実施されますし、人員計画が固まる時期も企業によってまちまちです。

 私自身、国内企業が休みに入る年末ぎりぎりに転職が決まった経験があります。12月24日に書類を提出し、12月28日に面接に呼ばれました。日本語が分からない社員になぜか日本語でプレゼンテーションして、12月29日に内定通知を頂きました。

 後日、なぜ年の瀬に内定が出たのかと尋ねてみました。「12月決算のため、年内に人員を採用しなければ、来年予算が付くか分からない」との答えでした。

 このように、採用側の事情は企業ごとに異なります。転職活動を始めようとする人から、「何月に転職活動を始めるのが有利か」としばしば質問されますが、「条件に合う求人が出ているとき」としか回答できないのです。

寒さが体にも心にもこたえる

 一方で、転職者側の活動のしやすさという意味では、転職活動に適した季節はお答えできます。私のお薦めは、気候が良い春と秋です。寒暖は、転職活動をする上では意外に無視できない要素です。

 近年の夏の暑さを考えると、酷暑による体力消耗を考えた上で活動しなければなりません。現職で昼間働いて汗びっしょりになってしまったスーツを終業後に脱いでシャワーを浴び、着替えてから面接に臨まなくてはならない場合もあるでしょう。

 反対に、冬は寒さが体にこたえます。転職活動では、現職の昼休みや終業後に、人材エージェントや応募企業と屋外で携帯電話を使ってやりとりするような場面が多くあります。寒い場所に長時間身を置くことで、体調を崩す危険もあります。

 中には、インフルエンザにかかって面接を延期せざるを得ない人もいます。その結果、少し後に応募した人が先に面接を受けて内定してしまう、といったことも実際にありました。

 また、寒いと精神面でもダメージを受けやすくなります。冬は酉(とり)の市やクリスマス、お正月などイベントが多く、同世代がにぎやかに夜の街を歩いている中で、転職活動にまい進せねばなりません。その結果不採用通知を受け取ると、寒さは一層心に刺さり厳しいプレッシャーとなります。年賀状と一緒に不採用通知の封書が届いたり、年賀メールに交ざって年明け早々“お祈りメール(不採用メール)”を受け取ったりすると、さすがにつらいのではないでしょうか。

 こうしたことを理解した上で、いつから転職活動を始めるかを決めた方がよいでしょう。いったん開始したら3カ月間は一生懸命努力します。それでも良い会社が見つからなかったら、改めて今後の方針を検討し直します。3カ月で内定が出なくても、この期間転職活動をやり切ったことでモヤモヤが消え、現職で頑張ろうという気持ちを新たにすることもあるかもしれません。

天笠 淳(あまがさ あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳(あまがさ あつし) 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。