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 転職を考えるときのきっかけの1つになるのが、「隣の芝生は青く見える症候群」に陥ることではないでしょうか。学生時代の友人が勤める企業や自分の同業他社、取引先など、いろいろな企業が魅力的に見えて、転職先の選択肢になってきます。

 最近、私の取引先で多いケースが、発注側から受注側への転職です。例えば、メーカーなどから、自社に出入りしているコンサルティング会社に転職するというケースがあります。「天笠さん、またコンサルへの転職者が出ました。そんなに魅力的なんですかね」と聞かれます。

 それに対して、私が「その方って結局どうなりました?」と尋ねると、希望を持って入社したものの程なく打ち砕かれ、退職して別の会社に移るケースは少なくないようです。せっかく入社した憧れのコンサルなのに、なぜこんなことが起こるのでしょうか。

在職中と同じ仕事しかできない

 例として、メーカーからコンサルに転職した佐藤さん(仮名・25歳)の場合を見てみましょう。メーカー時代に取引のあったコンサルに転職し、憧れの業界で心機一転頑張るぞ、と気合が入っていました。給与も、メーカーに比べればかなりアップしました。

 しかし専門性が変わらないため、結局佐藤さんは、前職時代と同じ専門領域を担当することになりました。業界を熟知していることを評価されての採用だったため、前職の業界の企業に対する営業やコンサルを任されたのです。

 同じ業界ですから、関わる人も同じになります。佐藤さんの場合、同業他社の交流会で親交があった人が自社のクライアントになり、改めて挨拶をするといった機会がありました。ただしそこは会社員同士の付き合い。立場が変わると付き合い方も変わります。

 例えば、企業の組織戦略の勉強会で知り合った、他社の企画部の部長。佐藤さんが同業だった時代は、世界最先端の知見を持ってそれぞれの会社を変革していこうと交流を深めていました。しかしコンサルに転職後、クライアントとなったその企画部長にプレゼンしてみると、「概念的な話ばかりで具体性に欠ける。訳の分からない海外事例ではなく、より当社に即した実践的で分かりやすく、効果的な提案をしてほしい」などと厳しいフィードバックを受け、失注が続きました。

 受注できた際も、容赦ありません。プロジェクトの進捗について厳しい指摘を受けた後に、「あなたの会社をコンサルしてきたら?」などと皮肉を言われることもあるそうです。