企業の外でも技術者は大人気
自分の経験やスキルが思わぬところで生きるという話は、企業への転職だけに当てはまる話ではありません。特に技術者の方には、様々な活躍の可能性があります。やや余談になりますが、私が20代の頃、青年海外協力隊の説明会に参加したときの話を紹介します。
20代で転職を考えていた私は、どうせなら海外を含めて様々な経験を積みたいと思っていました。そんなある日、通勤中の電車内で青年海外協力隊の募集広告を見ました。説明会に参加したところ、様々な展示ブースが設けられており、全体説明の後に希望する職種ごとの相談ができました。
当時から、ものづくりのスキルを持った技術者は引く手あまた。ブースに入った瞬間に勧誘が始まっていました。私は妻と一緒に説明会に行ったのですが、看護師である妻も早速引っ張りだこになっていました。
一方の私は、やる気はあっても営業と遊びしか能力がなく、語学力もそれほど高くありません。私にできそうな仕事がなく途方に暮れかけていたところ、発見したのが「これといって取りえがない人のためのコーナー」でした。「子供に遊びを教える」「井戸を掘る」などの仕事が案内されていました。
出身地の群馬で、祖父が掘った井戸水を飲んで暮らしていた私。井戸の掘り方であれば、だいたい把握しています。天職を発見したかのごとく、説明を聞いたのを覚えています。
結局、当時の私は諸事情で青年海外協力隊には応募しませんでした。あれから30年近くたち、最近になってもう一度興味を覚えて調べてみたところ、私はシニア海外ボランティアの対象年齢になっていました。シニア海外ボランティアにも、様々な職種の募集があります。
企業への転職だけがキャリアチェンジではありません。金銭面では困っていない、何か新しい挑戦をしたいという方は、一度、国際協力機構(JICA)のWebサイトをご覧になってみてはいかがでしょうか。自分のスキルを生かして海外で貴重な経験を積むことで、その後の人生の可能性が広がるかもしれません。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
