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 早期退職する人が次の職を探すための「転身部屋」。前回に続き、架空のメーカーA社で突然転身部屋への異動を命じられた玉田さんの物語を紹介します。

 年が明け、仕事始めの日に転身部屋に出社した玉田さん。何をすべきかも分からない状態で初日が終わりました。これからどうなるんだろうと不安を抱えながら、玉田さんは2日目も転身部屋に向かいます。

 到着すると朝から「オレたちはだまされた」「今まで会社に貢献してきたのにこの扱いはなんだ」とまくし立てている人たちがいました。初日の転身部屋の状況を本社に在職している同僚に報告し、いろいろな情報を仕入れたようです。そのおかげでかなりの情報が集まりましたが臆測を含んだものも多く、何が正しいのか情報整理ができないことで玉田さんの不安はさらに高まります。

 このように、転身部屋では2日目ごろから混乱が始まります。現状整理とこれからの活動に対する心構えができず、動揺するメンバーが多いからです。

 よく考えれば、早期退職制度の運用を始めて転身部屋を用意するくらいですから、会社に残っても大変なことには変わりありません。リストラによって会社が持ち直すかどうかも保証されていません。

 ですからまずは冷静になることが肝心です。自分の置かれた状況を受け入れたうえで、どうすべきかを考えます。

「3:1の法則」を自分に発動する

 こんな状況下での心構えとして、米国のポジティブ心理学者バーバラ・フレドリクソンが提唱する、物事を良い方向に進ませるための「3:1の法則」をご紹介したいと思います。

 3:1の法則とは、ネガティブな感情がゼロになることはあり得ないとしたうえで、ポジティブな感情がネガティブな感情を3倍上回ることで、物事は良い方向へ進むというものです。筆者も成長中の混沌とした企業をいくつも渡り歩きましたが、確かにこの考えは重要だと感じています。

 最近はコロナ禍で、経済ニュースでもあまり明るい情報は見かけません。それに加えて転身部屋で自分の雇用や転職に関するネガティブな情報を聞いていたら、精神状態もネガティブになるでしょう。

 3:1のバランスを保つためには、①ポジティブな感情をつくり出す環境、②ネガティブな情報をできるだけ受け止めない環境が必要だと筆者は考えます。転身部屋2日目でポジティブな発想や視点が見つからないのは当たり前です。人によってはしばらくポジティブな発想は生まれにくいかもしれません。

 こうした状態では、仮に少しポジティブな情報があってもネガティブな情報ばかりに意識を向けてしまいがちです。ですから、まずは自分にとってネガティブになりそうな情報を一切遮断することをお勧めします。