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 ですから、入社時の職位は1つでも高い方が望ましいのです。等級ごとに給与テーブルを設けている会社の場合も、ある等級の上限額と1つ上の等級の下限額が重なるケースがあります。同じ給与額であれば、1つでも上の等級で入社できるように交渉しましょう。

 あえて、現職で職位を上げてから転職する方法もあります。人材エージェントからは、現在課長の人には課長の、部長の人には部長のオファーが来ます。エージェントは職位相応の求人を紹介しますし、採用側も現在の職位を気にします。たとえ現職がブラックでも、職位が上がりやすい環境なら、少し我慢して職位を上げてから転職するのも手です。

 また、現職で「課長」など管理職の肩書きが付いていなくても相応の職務をこなしている場合は、職務経歴書にそのことをしっかり記入しましょう。管理職の採用では、「部下の管理業務経験がどれだけあるか」「人事評価をしたことがあるか」など、管理職特有の業務経験がある人を優先するケースがあります。

 肩書きはなくてもこうした経験を積んでいる人は、それをきちんと伝えることで評価されます。代表的なのが、「コールセンターのスーパーバイザー」「工場の総務担当」といった役職の人たちです。転職によってマネジメント職へのステップアップを考えている場合は、現職の業務の何が管理職業務に当たるかを整理して、きちんと自己アピールしましょう。

借金返済を楽にしたいなら

 最後に、借金返済を楽にするために転職で給与アップを目指している人について触れておきましょう。「リボ払いが月5万円あるので、転職で月給を5万円上げたい」といったケースです。こうした人は、転職よりもまず生活の見直しを検討することをお勧めします。

 転職が成功して収入が増えると、気が緩んでその分お金を使ってしまう人がいます。さらに収入を増やす必要に迫られ、それを目的に転職を繰り返すようになるのです。

 実際、ある企業の中途採用選考で、応募者を不採用にした理由を「優秀だけど借金の臭いがする」と社長が話すのを聞いたことがあります。借金は個人の問題だから会社が関知することではないが、営業や管理系の業務で問題を起こす可能性がある、と判断したそうです。

 副業を認める会社も増えています。就業規則には触れないようにアルバイトで5万円稼ぎつつ、現職で経験を積んだ方が、リスクは少ないでしょう。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。