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職業観と人生観は、転職活動の前に考えておく

 残る2つ、職業観と人生観についてはどうなのでしょうか。これらももちろん重要ですが、転職する際に考えるよりも、普段から意識しておくべきだというのが筆者の意見です。

 職業観とは、「何のために働くか」「自分がすべき仕事は何か」のように、自分にとって働くとはどんなことかを意味します。普段の生活の中で、これをじっくり考えることは少ないかもしれません。しかし安定した環境で働いている平常時に考えた方が、自分なりに納得のいく答えが出ると思います。

 転職活動に入ると、転職先の候補はどこがあるか、転職活動の面接にどう臨むかなどと考えるべきことが山ほど出てきます。そんな中で「自分は何のために働いているのか」と頭を悩ますのは、負担が大き過ぎます。「誰のために働くか」「社会にどう貢献したいのか」など概念的な職業観に縛られ過ぎて、転職活動がスムーズに進められないこともあります。

 とはいえ、こうした質問を面接官や転職エージェントからされる可能性はあります。ですから回答を用意する必要はあるのですが、それは転職活動を始める前に終えておきましょう。もちろん、転職活動を通じて自分の職業観が変化することはよくあります。その都度、回答を修正したりアップデートしたりすればよいでしょう。

 最後の人生観は、職業観をさらに拡張したものです。「どんな生き方をしたいのか」といった大きなテーマです。これこそ、転職活動中に考えるのはとても難しいと筆者は思います。

 人生観については、よほどのことがない限り考える機会はないでしょう。ただでさえ考えたことがないテーマを、初めての転職の際に考えようとするのはなかなか骨の折れることです。人生観は、日常生活の中で少しずつ形作られていくものではないでしょうか。

 今回は、転職の際に頭をよぎる3つの価値観について考えてきました。決して、職業観や人生観について考えることが不要だと言いたいわけではありません。逆に転職を考える上では必須でしょう。しかしそれは転職活動中ではなく、平常時から意識しておくことが良い転職につながると思います。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。