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 仮に試験に合格して資格を得たとしても、それだけで開業してうまくいくとは限りません。例えば鍼灸師になれたとして、習得したばかりの医療技術に神経を使いながら経営も軌道に乗せるのはかなり難しいことです。筆者の家族にも医療関係者が何人もいますが、ほとんどが自営ではなく被雇用者として働いています。

 ずっと会社勤めをしてきた人の中には、こうした実情を理解していない人がいます。転身部屋に送られた場合、1週間が経過したあたりから資格情報のフリーペーパーを読むようになるのです。そして「税理士と中小企業診断士と鍼灸師、どれがもうかるか」といった話になります。それぞれの資格保有者や、実際に現場で勤務している人が聞いたら、怒るかあきれてしまうような会話が交わされるのです。

資格取得するならビジネスプランを考える

 もちろん、早期退職を機に資格取得によるキャリアチェンジを検討するのは良いことだと思います。ただしそこで押さえておきたいのは「開業して生活ができるのか」です。「資格を取りさえすれば生活が安定する」というのは安易な考えと言わざるを得ません。

 40~50代からの資格取得は、ビジネスプランを考えることが重要です。最低でも、仮に開業した場合に見込み顧客はどれくらいいるのか、立地を考えるとどこで開業すべきかは事前に考えておくとよいでしょう。開業資金も必要ですから、授業料と合わせて必要な金額を見積もっておくべきです。開業せずに資格保有者として雇用されることを目指すなら、資格取得の勉強をしながら、並行して転職活動をすることをお勧めします。

天笠 淳
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
天笠 淳 早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。アネックスのWebサイトはhttp://www.annexcorp.com/