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 「この業界はブラック」「この会社に入ってはいけない」。ネット上でもこんな情報をよく目にします。

 筆者は長年転職支援を手掛けていますが、あえてこのテーマには普段からほとんど触れません。それには理由があります。

 言葉にすると当たり前なのですが、「人から応募しない方がよいと言われる企業でも、本人にとってはとても居心地が良い」ことはよくあるからです。自分で情報を得て判断するならまだしも、人に言われるがまま応募を取りやめるのは転職機会の損失であり、とてももったいないことだと考えています。

人の言うことを気にするより、まずは応募を

 筆者が転職の相談を受けるとき、「その業界や企業に関心があるのに応募せず、ネット上の情報を探しながらモヤモヤしている」状態の相談者が少なくありません。「あの業界は行かない方がいいと書かれているが本当か」と質問されることもあります。こうした人にお伝えしたいのは、「人の言うことを気にするより、まずは応募して面接を受けてみてはどうか。入社するかどうかは、内定後に考えればよい」ということです。

 筆者から見ても、長く働いてもスキルアップできなさそう、やりがいがなさそう、給料アップも望めなさそうだと思える業界はあります。しかしだからといって「応募すべきではない」と断言できるほど、筆者は全てを知っているわけではありません。

 自分自身が働いていた業界でも、1年もすれば状況は変わり、組織も変わります。自分の過去を基にしたアドバイスも、全面的に信頼できるとは言えません。実際、「この企業には入るべきでない」と断言している情報を見ても、あまりアップデートされていないものが多くあります。うのみにしない方がよいでしょう。

 筆者は10回の転職を経験し、さまざまな業界や企業で働いてきました。筆者には合わなかった企業でも、そこで今も生き生きと働いている元同僚はたくさんいます。こうした状況を見ると、「あそこには応募しない方がよい」とは失礼で言えません。