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 コンクリート構造体の内部に空洞をつくり、人間の動脈のようなネットワークを構築する。こんな方法で、ひび割れの自己修復を図ろうというのは、日本大学工学部のパリーク・サンジェイ准教授だ。実用化前の現状を現地で聞いた。

 日本大学のサンジェイ准教授が開発した技術は、「全自動自己修復システム(ASRS)」だ。人が傷を負ったときに傷から血が出てかさぶたとなり、時間がたつと傷が治る仕組みをコンクリートに採り入れた〔写真1〕。

〔写真1〕実用化目前の全自動自己修復システム(ASRS)
〔写真1〕実用化目前の全自動自己修復システム(ASRS)
コンクリート内に計画的に空洞をつくり、動脈のようなネットワークとする。そこにエポキシ樹脂を流し、ひび割れを修復する。1mや2mの鉄筋コンクリート梁供試体での効果も確認済み(写真:日経アーキテクチュア)
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 コンクリート打設時にチューブを張り巡らせる。コンクリート硬化後に、チューブを引き抜くことで構造体の内部に空洞をつくり、人間の動脈に似たネットワークを構築する。そこに一液性の特殊なエポキシ樹脂を定期的に流し込み、ひび割れを修復する仕組みだ〔写真2〕。

〔写真2〕エポキシ樹脂でひび割れ修復
〔写真2〕エポキシ樹脂でひび割れ修復
エポキシ樹脂がセメントの水と反応することによってひびを修復。エポキシ樹脂の粘度を変更することで3~4mmのひび割れを、約3日で修復することができる(写真:日経アーキテクチュア)
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 静荷重や地震で発生するひび割れは、曲げモーメントの引っ張り側に生じるので、その位置を対象にネットワークを導入する〔図1〕。

〔図1〕ひび割れ発生位置とネットワーク
〔図1〕ひび割れ発生位置とネットワーク
研究や経験則により、静荷重や地震によるひび割れは、曲げモーメントの引っ張り側に発生することが分かっている。その場所に沿って空洞を設計し、ネットワークとすることが可能だ(資料:日本大学)
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 環境条件にかかわらず、エポキシ樹脂の粘度を変更することで幅3~4mmまでのひび割れを約3日で修復できる。建物を活用している状態で修復が可能なため、メンテナンスのための休館日を設ける必要もない。

 曲げひび割れを対象としたこの技術は、1mや2mの鉄筋コンクリート(RC)梁供試体での効果も確認済みだという。「プレキャストコンクリート製造会社との話も進んでおり、いつでも実用化が可能だ」とサンジェイ准教授は自信を見せる。