インテリアデザインの巨匠といわれた故・倉俣史朗氏が、1980年代に店舗デザインに用いて話題を呼んだ「スターピース」。テラゾー(人造大理石)の中にカラーガラスをちりばめた素材だ。当時、その製作を担当した富山市内のメーカーが、新展開に挑んでいる。
「業績が落ち込んでいた2016年5月、富山ガラス工房(財団法人富山市ガラス工芸センター)の門をたたいた。野田雄一館長があのとき会ってくれなかったら、今の状況はなかっただろう」。鳥居セメント工業の鳥居照子代表はこう切り出す。
テラゾータイルやコンクリート平板を製造する同社は、1980年代に倉俣史朗氏のデザインで注目を集めた「スターピース」を製作した。「施工会社からの依頼だったので、倉俣さんを知ったのはだいぶ後になってから。カラーガラスを砕いてテラゾーにまぶしたもので、これを思い出して野田さんを訪ねた」(鳥居代表)
野田館長は「ガラスを使って面白いテラゾーはできないか」とリクエスト。鳥居社長は、様々なガラスを入れたテラゾーをつくっていった。2年ほどでつくりためたサンプルは全てショールームの棚にある。「並べておくと、『これもできるんじゃないの』と見る人に想像を膨らましてもらえる」と野田館長は言う〔写真1〕。