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 高断熱住宅の上位仕様として、ダクト式の熱交換型換気設備の採用が増えている。ダクトの断熱方法は屋根断熱と天井断熱で異なり、ミスが生じやすい。断熱施工不良は結露を招くので注意が必要だ。

 熱交換型換気設備を設置した石川県内に立つ住宅では、換気ファンが動いているのに十分な換気が行われず、室内にカビが生えるトラブルが発生した〔写真1〕。

〔写真1〕無断熱のダクト内に結露水が滞留
〔写真1〕無断熱のダクト内に結露水が滞留
バケツ半分に相当する結露水がたまっていた、熱交換型換気設備の還気ダクト。断熱層の屋外側に断熱材なしの状態で設置されていた(写真:福田温熱空調)
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 換気設備に詳しい福田温熱空調(石川県白山市)の福田重顕代表が調べると、居室の排気グリルと熱交換気ユニットをつなぐ還気ダクトにたるみを発見。ダクトに穴を開けると、大量の結露水が流れ落ちた。ダクト内に結露水がたまっていたので、換気風量が低下していた。

 ダクト内部で結露が発生した原因は、断熱していないビルトインガレージの天井裏に、無断熱でダクトを設置していた点にあった。還気ダクトには室内から排出した高温多湿の空気が通る。断熱層の外側にダクトがあると冷やされて結露しやすくなる。