仙台市は、市役所本庁舎建て替えの基本設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、石本建築事務所(東京・千代田)と千葉学建築計画事務所(東京・渋谷)の2社によるJV(設計共同企業体)を受注候補者に選定した。次点者は久米設計(東京・江東)とAL建築設計事務所(仙台市)のJVだった。
1965年に完成した現本庁舎は、高層棟と低層棟から成る行政棟、および議会棟によって構成される。新本庁舎の建設に当たっては、低層棟や議会棟のほか、噴水広場などの外構を先行解体し、1期工事として、敷地南側に新本庁舎を建てる。高層棟と北側駐車場を解体後、2期工事として、敷地北側に駐車場や外構を整備する。
受注候補者に選ばれた石本建築事務所・千葉学建築計画事務所JVによる提案のコンセプトは、「素朴な技術の活用」や「小さな活動の場の連鎖」など。東日本大震災で学んだことの1つとして、「『技術』で自然をコントロールできるというのは、人間の過信であった」とし、自然光や風を身近に感じる平面計画を示している。
また、街の様々な活動やにぎわいが見渡せる「みち」、仙台の文化でもある市民活動や協働の拠点となる「みせ」、それらが立体的に重なり合って生まれる「ひろば」――。これら「小さな活動の場の集合体」で、市民の心のよりどころとなる空間を実現しようとしている。
審査講評では、「東日本大震災からコンセプトを導いている点や、『素朴な技術の活用』というコンセプトが評価できる」とされた。また、「高層部の執務フロアにも低層部の市民協働の場を展開できる構成となっている点、市民協働の機能を『みち』を引き込んで立体的に構成するアイデアや低層部を中心にその拠点となる『みせ』という箱を配置する提案が練られており、東側や南側の街路を活動的にするという提案だけではなく、北や西側の街路も大事にしている」と評価した。