全1838文字
PR

 高知県四万十町は、四万十町文化的施設の基本設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、最優秀者にスターパイロッツ(東京・目黒)と建築設計群無垢(高知市)の2社によるJV(設計共同体)を選定した。次点者はシーラカンスアンドアソシエイツ(東京・渋谷)だった。

見下ろしたイメージ。敷地の南側の斜面からの山津波と水害リスクを想定して、鉄筋コンクリート造による堅牢な躯体を主架構に採用。屋根は軽快な鉄骨、または木+鉄骨の複合梁による大スパンのトラス架構とする(資料:スターパイロッツ+建築設計群無垢JV)
見下ろしたイメージ。敷地の南側の斜面からの山津波と水害リスクを想定して、鉄筋コンクリート造による堅牢な躯体を主架構に採用。屋根は軽快な鉄骨、または木+鉄骨の複合梁による大スパンのトラス架構とする(資料:スターパイロッツ+建築設計群無垢JV)
[画像のクリックで拡大表示]

 四万十町文化的施設は、図書館や美術館、展示、コミュニティーの4機能を複合的に集約した施設だ。四万十町が2019年12月に策定した「四万十町文化的施設基本計画(案)」では、新しい施設のビジョンとして「まちの文化が流れ、人にひらかれ、人が集まる四万十駄場」を掲げる。人が自然と集まり、交流する場所を意味する「駄場」のように、まちと人に開かれた拠点となることを目指す。

 また、「窪川、大正、十和という四万十町の各地域をつなぐ」役割を果たし、「それぞれの機能が有機的に連携することで、これまでにない活動スタイルや世代間の交流が生まれ、中心市街地にぎわい創出の拠点になる」と期待している。

施設構成。図書館の中に展示機能を散らばせるように配置することで、美術に気軽に触れられるようになる。また、各展示のそばに関連書籍を配架することで、学びのきっかけを提供する。美術館の屋外活動も行える「芝生広場」は「交流コーナー」と一体利用もできる「駄場」となる(資料:スターパイロッツ+建築設計群無垢JV)
施設構成。図書館の中に展示機能を散らばせるように配置することで、美術に気軽に触れられるようになる。また、各展示のそばに関連書籍を配架することで、学びのきっかけを提供する。美術館の屋外活動も行える「芝生広場」は「交流コーナー」と一体利用もできる「駄場」となる(資料:スターパイロッツ+建築設計群無垢JV)
[画像のクリックで拡大表示]

 最優秀者に選ばれたスターパイロッツと建築設計群無垢のJV案は、次の3つのコンセプトを軸に、建物の配置計画や土地形状の活用、四万十町におけるこれからの公共空間のイメージを提案している。

(1)インクルーシブ(包摂的)な「文化創造の場」を目指す――すべての人たちに柔軟性のある機会と環境を約束する、寛容でインクルーシブな空間でなければならない。
(2)エリアリノベーションの思想――建物単体で機能やサービスを考えるのではなく、まずその周辺、徒歩圏内(半径100m程度)を1つのエリアと捉え、そこにすでにある様々な可能性(ポテンシャル)を徹底的に洗い出し、そのエリアの進むべき近未来を予想し、隣接するエリアと差別化を図りながらブランディングしていく。
(3)記憶の継承でまちを1つの図書“環”にする――図書館の重要な機能として「記憶や情報の記録保存」がある。新施設建設を契機に、町に散らばる貴重資料のデジタル・アーカイブ化を進める。

四万十町文化的施設への入り口となる道。提案書では、「図書館通り」と名付けた。昔からの店と新しいチャレンジとが共存する(資料:スターパイロッツ+建築設計群無垢JV)
四万十町文化的施設への入り口となる道。提案書では、「図書館通り」と名付けた。昔からの店と新しいチャレンジとが共存する(資料:スターパイロッツ+建築設計群無垢JV)
[画像のクリックで拡大表示]