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 大分県豊後大野市は、多機能型関係人口拠点施設の実施設計・監理者を選ぶ公募型プロポーザルで、最優秀提案者に塩塚隆生アトリエ(大分市)を選定した。次点提案者はエヌ・ケイ・エス・アーキテクツ(福岡市)だった。

南側外観。前面道路に面して、室内と一体的に利用できる催し広場や階段状のみちギャラリーを設け、気軽に立ち寄れる雰囲気をつくる。また、外壁面に設けた新たな開口部は、施設内の活動の様子をまちに伝える(資料:塩塚隆生アトリエ)
南側外観。前面道路に面して、室内と一体的に利用できる催し広場や階段状のみちギャラリーを設け、気軽に立ち寄れる雰囲気をつくる。また、外壁面に設けた新たな開口部は、施設内の活動の様子をまちに伝える(資料:塩塚隆生アトリエ)
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 豊後大野市は、人口や経済、地域社会の課題に一体的に取り組むために、「豊後大野市総合戦略」を2015年10月に策定。21年度に、新たな移住定住施策として「豊後大野市歴史民俗資料館」(21年7月機能移転予定)を活用した「多機能型関係人口拠点施設」を整備することを計画した。プロポーザルでは、施設の基本コンセプトとして次の5点を求めている。

 (1)市内外の人が気軽に立ち寄ることのできる場、(2)企業や個人が快適にテレワークできる場、(3)地域住民が都市住民などの多様な人材と交流し、つながりを構築できる場、(4)起業や移住に向けた相談やイベントが開催できる場、(5)起業や新たな産業創出に向けたセミナーや研究を行える場。

最優秀提案の企画提案書の一部。「これまでの資料館の閉鎖的な空間に対して、新たに開口を設けて屋外とのつながりをつくったり、気積の大きさを活用して変化に応じることのできるしつらえにしたりすることで、『資料から人 へ』主体が変わるための機能性や居住性を工夫した」と塩塚隆生氏(資料:塩塚隆生アトリエ)
最優秀提案の企画提案書の一部。「これまでの資料館の閉鎖的な空間に対して、新たに開口を設けて屋外とのつながりをつくったり、気積の大きさを活用して変化に応じることのできるしつらえにしたりすることで、『資料から人 へ』主体が変わるための機能性や居住性を工夫した」と塩塚隆生氏(資料:塩塚隆生アトリエ)
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 最優秀提案者に選ばれた塩塚隆生アトリエの案は、「新しい働き方と新しい生活のための舞台」を実現する仕掛けとして、「出来事にあふれる『みち』」と「活動を支える『ブドウ棚』」を提案した。塩塚隆生アトリエ代表の塩塚隆生氏は、プレゼンテーション審査会でアピールしたコンセプトについて、次のように説明する。

コワーキングスペース(図右手前)から 「みち」を介してコミュニティースペース(図中央奥)を見る。新たに設ける木製の梁(はり)「ブドウ棚」が施設全体にわたって架け渡され、スペースに可変性と統一性をもたらす(資料:塩塚隆生アトリエ)
コワーキングスペース(図右手前)から 「みち」を介してコミュニティースペース(図中央奥)を見る。新たに設ける木製の梁(はり)「ブドウ棚」が施設全体にわたって架け渡され、スペースに可変性と統一性をもたらす(資料:塩塚隆生アトリエ)
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 「1つは、地域の『みち文化』を生かした施設づくり。まちを巡る『緒方井路(おがたいろ)』と、それに並走する『水車通り』をヒントに、気軽に立ち寄ることができ、交流を促す仕掛けとして、『みち(道)』を施設に引き込むことを提案した。『みち』は前面道路からつながった半屋外のスペースで、施設を南北に横断する」

 「もう1つは、舞台のブドウ棚をモチーフにした木製の梁(はり)を施設全体に架け渡す仕掛け。このブドウ棚を手掛かりに、空間を仕切ったり、展示物や棚を吊(つ)り下げたり、床を設けたり、状況に応じて変化する空間を提案した」

東側外観。新たにエントランスを設け、道の延長として「みち」を引き込む。前面道路に対して斜めに構える建物配置の特徴を生かし、気軽に立ち寄れる動線をつくる(資料:塩塚隆生アトリエ)
東側外観。新たにエントランスを設け、道の延長として「みち」を引き込む。前面道路に対して斜めに構える建物配置の特徴を生かし、気軽に立ち寄れる動線をつくる(資料:塩塚隆生アトリエ)
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