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 島根県邑南町(おおなんちょう)は、道の駅瑞穂の基本設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、第1候補者に大西麻貴+百田有希/o+h(東京・中央)を選定した。次点候補者はy&M design office 島根Lab(島根県邑南町)だった。

外観イメージ。屋根の仕上げは石州瓦とし、邑南町を象徴する美しい家並みと連続する。町の人々の記憶に刻まれる、懐かしくも新しい町のシンボルを目指す(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
外観イメージ。屋根の仕上げは石州瓦とし、邑南町を象徴する美しい家並みと連続する。町の人々の記憶に刻まれる、懐かしくも新しい町のシンボルを目指す(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
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 邑南町では、町を公民館単位で12の地区に分け、地区ごとに人口減少に歯止めをかけるためのアクションプラン作成に取り組んでいる。今回のプロポーザルは、「12地区とつなぐ道の駅」をコンセプトに、邑南町のゲートウエーとして、地域に根差す施設として、さらに、邑南町の多様な魅力を探すことやそれを案内することで、道の駅の利用だけでは終わらない地域との関係創出を求めている。

第1候補者の企画提案書の一部。放射状に配置された壁が緩やかに空間をゾーン分けしつつ、屋外の里山風景へと視線を導く(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
第1候補者の企画提案書の一部。放射状に配置された壁が緩やかに空間をゾーン分けしつつ、屋外の里山風景へと視線を導く(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
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 第1候補者に選ばれた大西麻貴+百田有希/o+hは、周囲の山並みに呼応する大屋根を提案した。ゆとりある敷地を生かし、4つのエリアごとに異なる顔をつくる配置計画としている。(1)軒下が連続し、イベントスペースとして国道261号への顔となるエリア、(2)バス停やタクシー乗降場、来客用駐車場などのある交通広場、(3)背後の住宅街のプライバシーに配慮した搬入エリア、(4)風景を望む安全な遊び――の4つの特徴あるエリアに向かって、伸びやかに家型の軒が連なる。

敷地西側の「こども広場」とつながる飲食などの提供スペース。里山の風景が目の前に広がる(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
敷地西側の「こども広場」とつながる飲食などの提供スペース。里山の風景が目の前に広がる(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
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 また、大屋根を支える壁は、(1)象徴的な壁を放射状に配置することで、ひとつながりの空間を緩やかに分け多様な居場所をつくる、(2)人々の活動のきっかけとなるとともに、様々な出入り口からの人の流れを建物中央へ自然と導く、(3)邑南町由来の自然素材を釉薬(ゆうやく)としたタイルを張り、光を受けて柔らかく輝く――といった特徴を持つ。

象徴的な壁を中心に地域の情報を分かりやすく掲示した案内スペース。チラシなどを整理して、手に取りやすいよう工夫する(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
象徴的な壁を中心に地域の情報を分かりやすく掲示した案内スペース。チラシなどを整理して、手に取りやすいよう工夫する(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
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 審査講評では「広い計画地の中で建築をコンパクトにまとめ、近隣住居に配慮し、スペースを取った案だった。建築は公園にふわっと屋根をかけたような空間が提案されており、周囲に開かれた開口部からは邑南町の風景がこれまでと違った見え方でより魅力的に感じられることが期待できる。屋根は数枚の壁のみで支えられており、その柱のない空間は、毎朝限られた時間で出荷する生産者に対し、また、車椅子やベビーカーの利用など様々な来客者に対し配慮されていた」とされた。

 さらに、「これからいろいろな関係者を巻き込み建築を考えていくうえで、提案された構造や設備の考え方もシンプルで、様々な地域づくりの声に対する柔軟性があると感じられる」と講評している。

国道に対する顔となるイベント広場。12地区の魅力を発進する屋台を並べ、各地区の情報や特産物を展示・販売できるほか、イベント時は移動してフレキシブルに利用できる(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
国道に対する顔となるイベント広場。12地区の魅力を発進する屋台を並べ、各地区の情報や特産物を展示・販売できるほか、イベント時は移動してフレキシブルに利用できる(資料:大西麻貴+百田有希/o+h)
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