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 神奈川県厚木市は、市庁舎や消防本部、国・県の行政機関、図書館、未来館(仮称)などからなる複合施設の設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、石本建築事務所(東京・千代田)と石上純也建築設計事務所(東京・港)の2社によるJV(設計共同企業体)を受注候補者に選定した。第2次審査には同JVを含む5者が進んでいた。

全景イメージ。庁舎機能(左手)と市民活動の場(右手)を水平に等価に並べて、今までにない「行政」と「市民」の関係性を築く(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
全景イメージ。庁舎機能(左手)と市民活動の場(右手)を水平に等価に並べて、今までにない「行政」と「市民」の関係性を築く(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
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 計画地は小田急線・本厚木駅に近く、同時に整備される厚木バスセンターと隣接するなど交通の要衝に当たり、厚木市全域からの利用が期待できる位置にある。加えて、市役所本庁舎と図書館・未来館を複合させるという施設構成が特徴だ。プロポーザルでは、この立地と複合化をいかに施設の魅力として高められるかが問われた。

2棟の間には、結び目としての谷ができる。谷の左手に庁舎棟「窓口」、右手に広場棟「気づきの『ニハ』」が同時に眺められる(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
2棟の間には、結び目としての谷ができる。谷の左手に庁舎棟「窓口」、右手に広場棟「気づきの『ニハ』」が同時に眺められる(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
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 石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JVの提案によると、複合施設を2棟に分け、1棟を市役所や国・県などの行政機能、議場を合わせた「庁舎棟」、もう1棟を図書館や未来館、連携センターオフィスなどからなる「広場棟」とする。同じ高さの建物を横並びに配置する形を取り、「庁舎棟」のフロアを「ユカ=床」、「広場棟」のフロアを「ニハ=庭」と名付け、12層の「ユカ」と4層の「ニハ」が並列した空間構成となる。

広場棟1階の「広場的なスペース」。天井が高く、内側に柱はなく、屋外にいるかのような開放的な雰囲気をつくり出している(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
広場棟1階の「広場的なスペース」。天井が高く、内側に柱はなく、屋外にいるかのような開放的な雰囲気をつくり出している(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
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 審査講評では、「それぞれの施設の独立性は高く、均等な階高の事務諸室と大空間を持つ文化情報施設に性格づけがなされる。屋上階を含めて5つの階では2棟がつながれ、庁舎機能と文化情報機能が地続きになる。また、2棟が並ぶ姿は、どこにもない唯一無二の姿となるだろう」とされた。さらに、「本案は、プロポーザルが設定する課題に対し最も創造的に取り組んだ優れた提案であり、今後の市民や市との対話を先導する強い理念と多様性を受け入れる融通さを持った提案と認められた」と講評している。

庁舎棟8階とブリッジで接続する広場棟のフロアは、図書館や未来館(仮称)からなる「創造の『ニハ』」。プラネタリウムやホール、スタジオを中心に、児童書や一般書エリアを備え、利用者が自らのアイデアを実装したり、試したりすることができる活動的な場所として構想している(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
庁舎棟8階とブリッジで接続する広場棟のフロアは、図書館や未来館(仮称)からなる「創造の『ニハ』」。プラネタリウムやホール、スタジオを中心に、児童書や一般書エリアを備え、利用者が自らのアイデアを実装したり、試したりすることができる活動的な場所として構想している(資料:石本建築事務所・石上純也建築設計事務所JV)
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