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 長崎県五島市は、鐙瀬(あぶんぜ)ビジターセンターと周辺施設の再整備の設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、委託候補者にアーキヴィジョン広谷スタジオ(東京・新宿)を選定した。

企画提案書で示された全体イメージ。この提案内容がそのまま設計案となるわけではない。既存ビジターセンターは直接増築せず、内部改修のみとし、事務室などを拡張して「森のミュージアム」として活用する。「森のミュージアム」「森のラウンジ」「森のアトリエ」「森の展望台」「森のテラス」「屋根下テラス」で「ジオパークセンター」を構成し、自然を取り込んだ「環境装置」として計画する(資料:アーキヴィジョン広谷スタジオ)
企画提案書で示された全体イメージ。この提案内容がそのまま設計案となるわけではない。既存ビジターセンターは直接増築せず、内部改修のみとし、事務室などを拡張して「森のミュージアム」として活用する。「森のミュージアム」「森のラウンジ」「森のアトリエ」「森の展望台」「森のテラス」「屋根下テラス」で「ジオパークセンター」を構成し、自然を取り込んだ「環境装置」として計画する(資料:アーキヴィジョン広谷スタジオ)
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 五島市福江島の南東部に位置する鐙瀬地区は、福江島のシンボル的存在の鬼岳から流れ出た溶岩でつくられた海岸が7kmにわたって広がる地質学的にも貴重な場所だ。同地区にある「鐙瀬ビジターセンター」は、五島市の地質や地形、動植物などの自然情報を紹介する施設として1995年に設置され、近くには展望所や遊歩道なども整備されている。

 今回のプロポーザルが対象とする整備事業では、同センターと老朽化した展望所や遊歩道を改修し、未整備地区の有効利用を行う。全体を「五島列島ジオパーク構想」の拠点となるように計画し、インバウンド観光の拡大などを図る。

「森の道」から「ジオパークセンター」を見る。緩勾配の「森の道」は車椅子やベビーカー利用者、高齢者など、誰もが同じ道を歩いて楽しめる。ランドスケープデザインはスタジオテラ(資料:アーキヴィジョン広谷スタジオ)
「森の道」から「ジオパークセンター」を見る。緩勾配の「森の道」は車椅子やベビーカー利用者、高齢者など、誰もが同じ道を歩いて楽しめる。ランドスケープデザインはスタジオテラ(資料:アーキヴィジョン広谷スタジオ)
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 委託候補者に選ばれたアーキヴィジョン広谷スタジオの案は、既存のビジターセンターを内部改修し、事務室やトイレを拡張。多目的展示空間の「森のアトリエ」と休憩所の「森のラウンジ」は、既存のビジターセンターとは分棟にする形で配置する。軒下空間や外部テラスを含めて構成することで、自然を取り込んだ「環境装置」のような建築を目指す。

 駐車場から続く「森の道」は幅員2m以上、25分の1以下の緩勾配で計画し、バリアフリーを実現する。「森の道」は、既存遊歩道を改修してつくる「海の道」へと続き、鐙瀬海岸を目の前にした眺望を楽しめる。

「自然系のオープンミュージアムに」

 アーキヴィジョン広谷スタジオ代表の広谷純弘氏は今回の案について「地域活性のためには、観光や研究のための来島者だけでなく、地元の人たちも気軽に訪れる場所になる必要がある。そのために、体験型屋外展示や自然を楽しむ遊具などの仕掛けをちりばめ、観光客と市民がともに楽しめる『ミュージアムパーク〜みんなの公園』になるような環境をつくる」と説明する。

 また、これから基本設計・実施設計と進む中で「行政機関や地域の人々とのワークショップやコミュニケーションをオンラインも取り入れて実現し、完成後の運営も含めて検討する。デザイン面でも体験面でも今までにない、自然系のオープンミュージアムを実現したい」と語る。

「森のミュージアム」のゾーニングイメージ。左上が知識の習得・学習をアシストする「ジオミュージアム」。右上はワークショップ体験や講演会などに利用可能な「ジオファクトリー」、下は島内の散策をアシストする「コミュニケーションホール」。展示設計はSPフォーラム(資料:アーキヴィジョン広谷スタジオ)
「森のミュージアム」のゾーニングイメージ。左上が知識の習得・学習をアシストする「ジオミュージアム」。右上はワークショップ体験や講演会などに利用可能な「ジオファクトリー」、下は島内の散策をアシストする「コミュニケーションホール」。展示設計はSPフォーラム(資料:アーキヴィジョン広谷スタジオ)
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