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 広島県は、福山市の県営引野住宅4号館などの設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、村田相互設計(広島市)とUID(広島県福山市)の2社によるJV(設計共同体)を特定者に選定した。次点者は土井一秀建築設計事務所とナフ・アーキテクトアンドデザイン(ともに広島市)のJVだった。

外観イメージ。団地に住む住民間の気配を感じられる見通しのよいピロティによって、安全安心に暮らすことができる住環境を目指す(資料:村田相互・UID JV)
外観イメージ。団地に住む住民間の気配を感じられる見通しのよいピロティによって、安全安心に暮らすことができる住環境を目指す(資料:村田相互・UID JV)
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 県営引野住宅は、1970年から71年に造成された大規模団地内の416 戸から成る4~5階建て公営住宅だ。最寄り駅であるJR山陽本線東福山駅の南東部に位置する丘の上に立つ。近年は、住居内外のバリアフリー化や世帯構成に応じた住宅の規模、設備など、ゆとりある住生活を営めるような居住水準が求められ、県は2019年度に建て替え整備の基本計画を策定した。

村田相互・UID JVによる技術提案書。周辺の緑地帯と調和させることで、公園のような環境を持った明るく、にぎやかな世代間交流ができる団地づくりを提案した(資料:村田相互・UID JV)
村田相互・UID JVによる技術提案書。周辺の緑地帯と調和させることで、公園のような環境を持った明るく、にぎやかな世代間交流ができる団地づくりを提案した(資料:村田相互・UID JV)
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 今後、Aブロック6棟(209戸)、Bブロック6棟(178戸)、Cブロック3棟(29戸)のうち、AブロックとBブロックの敷地を利用して建て替え整備し、Cブロックの3棟は解体する。今回のプロポーザルでは、業務範囲をAブロックの基本設計と同1期工事(45戸程度)の実施設計とし、Aブロックと近接し、将来的に建て替え整備するBブロックも含めた引野住宅全体のイメージを想定した提案を求めた。

「ハ」の字型の配棟計画とすることで、十分な隣棟間隔と豊かな眺望を確保する。各住戸間の界壁を南に面するように角度をつけ、南面採光を取り入れながら、住棟間のプライバシーを守ることができる住戸プランとしている(資料:村田相互・UID JV )
「ハ」の字型の配棟計画とすることで、十分な隣棟間隔と豊かな眺望を確保する。各住戸間の界壁を南に面するように角度をつけ、南面採光を取り入れながら、住棟間のプライバシーを守ることができる住戸プランとしている(資料:村田相互・UID JV )
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 村田相互・UID JVの案は、「坂の上のコミュニティーパーク ―公園のような居場所が世代をつなぐひきの団地」がテーマ。各住棟の1階部分をピロティ空間とし、住戸を2階以上に配置。ピロティ部分の「軒下広場」や周辺の緑地帯に囲まれた「森の広場」、集会所からスロープでつながる「みんなの広場」、残土を利用した築山状の広場など、住民が憩える様々なたまり空間をつくり出している。

集会所「みんなの会所」。周囲の広場と一体的に利用することで、多くの住民が集い、様々な催しを行える(資料:村田相互・UID JV)
集会所「みんなの会所」。周囲の広場と一体的に利用することで、多くの住民が集い、様々な催しを行える(資料:村田相互・UID JV)
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 審査部会による講評では、「住棟を東西軸に対して雁行(がんこう)配置とし、大胆に1階部分をピロティとすることで敷地に一体性を出し、ピロティを介する視線の抜けによって住民相互の交流や集会所でのアクティビティーを団地全体に表象させる計画」とされた。また、「車両動線は中央のメインアプローチからの合理的なアクセスとする一方、敷地の外周部には、遊歩道を設けることで、みどり豊かな周辺環境を最も身近な形で取り込んでいる」ことなどを評価している。

各住棟を見渡せる「みんなの広場」。集会所からスロープでつながり、集会所と一体利用できる(資料:村田相互・UID JV)
各住棟を見渡せる「みんなの広場」。集会所からスロープでつながり、集会所と一体利用できる(資料:村田相互・UID JV)
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