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 島根県邑南(おおなん)町は、町立石見(いわみ)中学校の基本設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、シーラカンスアンドアソシエイツ(名古屋市、CAn)を受託候補者に選定した。次点者は浦辺設計(大阪市)だった。

平面パース。地域の人々の目に触れやすい1階にアート系教科ゾーンと管理諸室、地域交流ゾーンをまとめ、2階にラーニングセンターを中心に文系教科・理系教科ゾーンを配置した(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
平面パース。地域の人々の目に触れやすい1階にアート系教科ゾーンと管理諸室、地域交流ゾーンをまとめ、2階にラーニングセンターを中心に文系教科・理系教科ゾーンを配置した(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
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 現在の石見中学校は1966年から教室棟や管理棟、屋内運動場、寄宿舎が建設され、68年に竣工した。老朽化による劣化は著しく、教育内容や社会情勢の変化への対応が困難な状況にあったため、邑南町では、2019年2月に「石見中学校改築検討委員会」を設置。校舎整備の早期実現に向けた指針として、「石見中学校校舎改築基本構想・基本計画」を策定した。

シーラカンスアンドアソシエイツによる技術提案書の一部。赤い石州(せきしゅう)瓦による屋根や、積雪、豪雨、夏の日射制御・通風換気に配慮した深い庇(ひさし)の出のほか、落雪の恐れのある部分は植栽帯とするなど、石見の気候風土に適した寒冷地対応型建築としている(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
シーラカンスアンドアソシエイツによる技術提案書の一部。赤い石州(せきしゅう)瓦による屋根や、積雪、豪雨、夏の日射制御・通風換気に配慮した深い庇(ひさし)の出のほか、落雪の恐れのある部分は植栽帯とするなど、石見の気候風土に適した寒冷地対応型建築としている(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
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 シーラカンスアンドアソシエイツの案は「地域と共に成長していく石見中学校をみんなでつくる」がテーマ。設計チームと生徒、教職員、地域の緻密な対話を重視した設計プロセスとし、石州(せきしゅう)瓦や雁木(がんぎ)、島根県産材、棚田の風景など、邑南町らしい資源を生かして、町の人々に親しまれる学校を目指す。

南側外観。校舎1階に創造と発表の舞台となる「まちギャラリー」と「棚田ホール」などを配置した(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
南側外観。校舎1階に創造と発表の舞台となる「まちギャラリー」と「棚田ホール」などを配置した(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
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 建物全体を鉄筋コンクリートのラーメン構造とし、体育館との間など3カ所に耐火コアを配置。2階中央部は県産材を用いた樹状柱による木造で構成する。将来的な用途転用に対応しやすくするとともに、耐震・耐火・耐久性と木の温かみを両立させた空間としている。 

学びを育てる2階「ラーニングセンター」。審査講評では、「学習履歴を日常的に感じられる空間として、可動式壁やパネルなどの組み合わせ利用が期待できる」とされた(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
学びを育てる2階「ラーニングセンター」。審査講評では、「学習履歴を日常的に感じられる空間として、可動式壁やパネルなどの組み合わせ利用が期待できる」とされた(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
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 審査講評によると、「先進的な設計で、構造などの工夫について印象に残るほか、外周のメンテナンス道路などもうまくまとめられていた」。また、「ギャラリーベランダなどについても開放感が感じられるほか、学びの並木道については、対話を大切にする空間提案としてよく考えられている」と評価された。

社会ラボ、国語ラボなど、各教科ラボをつなぐ「学びの並木道」。並木道のように木の架構が連続し、高窓から木漏れ日が落ちる(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
社会ラボ、国語ラボなど、各教科ラボをつなぐ「学びの並木道」。並木道のように木の架構が連続し、高窓から木漏れ日が落ちる(資料:シーラカンスアンドアソシエイツ)
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