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 高知県佐川町は、「まきのさんの道の駅・佐川」の基本設計者を選ぶ公募型プロポーザルで、若竹まちづくり研究所(高知市)、STUDIO YY(東京・台東)、ワークステーション(横浜市)の3社によるJV(設計共同企業体)を最優秀者に選定した。次点者はラーバンデザインオフィス(東京・文京)と小林大祐建築設計事務所(東京・北)のJVだった。

「まきのさんの花畑」からの外観イメージ。緩やかにカーブする屋根が2つの切妻屋根を結ぶ。駐車場(山側)と広場(手前の花畑側)を、建物によって明確に切り離している(資料:STUDIO YY)
「まきのさんの花畑」からの外観イメージ。緩やかにカーブする屋根が2つの切妻屋根を結ぶ。駐車場(山側)と広場(手前の花畑側)を、建物によって明確に切り離している(資料:STUDIO YY)
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 佐川町は2020年3月、「第2期佐川町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、基本目標の1つとして、「地産外商を中心に魅力のある仕事をつくる」を掲げた。生産者の所得向上と仕事の創出を推進するために、町内の産業振興を川上から川下まで体系的に進め、佐川町を全国へ売り出す。その広報・PRの拠点として位置付けているのが道の駅だ。

技術提案書の一部。周辺の自然や地形を最大限に生かし、建築と自然が一体となる佐川町の魅力が詰まった道の駅を提案した(資料:STUDIO YY)
技術提案書の一部。周辺の自然や地形を最大限に生かし、建築と自然が一体となる佐川町の魅力が詰まった道の駅を提案した(資料:STUDIO YY)
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 同時に、同町出身の植物学者、牧野富太郎博士がかつて愛したように、町民みんなで「植物を愛し、育てる」を楽しむまちづくりに取り組む。募集要項では、「植物が中心にある町としての佐川町をデザインし、海外を含め広く発信できる道の駅としての提案」を求めた。

メインアプローチからの外観イメージ。おおらかな屋根が「まきのさんの花畑」の風景を切り取り、象徴的なアプローチ空間をつくっている。建物左手が「おもちゃミュージアム」、右手の屋根が跳ね上がっているのが「まきのさんの市場」(産直・物販エリア)。その間に「まきのさんの台所」(食堂・レストラン)(資料:STUDIO YY)
メインアプローチからの外観イメージ。おおらかな屋根が「まきのさんの花畑」の風景を切り取り、象徴的なアプローチ空間をつくっている。建物左手が「おもちゃミュージアム」、右手の屋根が跳ね上がっているのが「まきのさんの市場」(産直・物販エリア)。その間に「まきのさんの台所」(食堂・レストラン)(資料:STUDIO YY)
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 最優秀者の若竹まちづくり研究所・STUDIO YY・ワークステーションJVによる案は、「みんなでもてなす、まきのさんの道の駅」がテーマ。まきのさんの道の駅を「佐川の自然を楽しむ場」と捉えた。緑豊かな自然、地質のメッカとして知られる佐川の地層、昔ながらの家や蔵の切妻屋根と山々が重なり合う風景……。これら佐川町ならでは特性を織り交ぜ、ここにしかない道の駅を提案している。

「まきのさんの台所」は「まきのさんの広場」へと続いている。背景には、広場のほか、右手に少し「まきのさんの畑」が見える(資料:STUDIO YY)
「まきのさんの台所」は「まきのさんの広場」へと続いている。背景には、広場のほか、右手に少し「まきのさんの畑」が見える(資料:STUDIO YY)
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 選考委員長の梅原真氏(梅原デザイン事務所代表、武蔵野美術大学客員教授)によると、「審査結果については、選考委員全員一致だった」。同氏は「道の駅を運営していくなかでの、活動の広がりやコミュニケーションといった内容を評価した」とし、「『まきのさん』という人を中心とした展開の広がりも感じることができた」と講評した。「今回は建物の優劣ではなく、その周辺と基本計画などをどう読み込んできたかというところで差がついた」(選考委員の腰原幹雄・東京大学生産技術研究所教授)

「まきのさんの市場」。下がり棟のある屋根形状に沿ってスパンに合わせた張弦梁(はり)を配置することで、空間にグラデーションを付けている(資料:STUDIO YY)
「まきのさんの市場」。下がり棟のある屋根形状に沿ってスパンに合わせた張弦梁(はり)を配置することで、空間にグラデーションを付けている(資料:STUDIO YY)
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