ITエンジニアやITコンサルタント、そしてIoT(Internet of Things)や人工知能など最新技術のエバンジェリストとして働いているメディアスケッチの伊本貴士と申します。ITエンジニアを対象に、これからの時代に活躍するITエンジニアに求められるスキルや勉強方法などについて、このコラムで書いていきたいと思います。目標はズバリ、国境を越え、世界から仕事が舞い込むスーパーエンジニア。ITで新しい価値を生み出し、世界を良い方向に変革する技術者の育成に役立つコラムを目指します。
さて、TCP/IPやSQLデータベース、オープンソースソフトウエア、クラウドコンピューティング…。さまざまな技術革新がITエンジニアを取り巻く状況を大きく変えてきました。そして、社会はIoT(Internet of Things)時代に突入しました。
IoT時代は、ハードウエアとソフトウエアの融合の時代とも言えます。従って、これまでソフトウエアだけを勉強してきたエンジニアにもハードウエアの知識が必要になってきます。実を言うと私も、興味はあったもののハードウエアは苦手領域の1つでした。しかし、「Arduino」というオープンソースハードウエアに出会い、楽しみながら勉強して、最終的に苦手意識を克服できたと思っています。
今後IoTが一層普及することにより、エンジニアには新しい知識が必要になります。例えば、長距離無線やNoSQLデータベース、そして人工知能の知識などです。これらの新しい技術をITエンジニアがどのように身に付けていくのか──。それは追々書いていくことにしましょう。第1回の今回は、「Linux」を扱うエンジニアに今後どのような知識が必要になるのかについて考えてみます。
IPv6がついに必須に
「このままではIPアドレスが枯渇するのではないか」。そう言われて数年が経ちますが、今のところサーバーやパソコンのみでIPアドレスが枯渇することはなさそうです。ただし、IoTの世界ではIPv6は必須の領域になります。
IoTが普及すると、パソコンよりもはるかに多くのデバイスがインターネットに接続することになります。しかも、場合によっては個々のデバイスがグローバルアドレスを持つ場合があります。そのため、例えばスマートホーム(電力計や家電製品が連携して自律的な機能を果たす家)などで使われることが想定されるネットワーク企画の6LowPANなどは、IPv6の利用を想定しています。
よって、Linuxのネットワーク設定などにおいてもIPv6を必ず意識する必要が出てくると言えるでしょう。