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「ITのプログラムはどこも同じ」という誤解

 例えば機械であれば、納入されただけでその外観から何となく高いものか安いものかが分かります。さらに、稼働すれば効果が目に見えて分かります。

 ところがソフトウエアは、ほとんどの場合、結果がパソコンの画面でしか見ることができず、それ以上の価値が伝わりません。実は、高度な技術者が素晴らしいアーキテクチャーを使い、拡張性が高くてセキュリティー対策も万全な非常に価値の高いプログラムを作っていたとしても、画面ではそれを確認することができません。

 本来は、発注側の企業はきちんとプロジェクト監査と品質評価を行い、そのプロジェクトにかかった費用が「適正かどうか」を評価すべきです。そして、そのために専門的な知識を持つコンサルタントを雇うべきだと、私はこれまでにいろいろな所で口が酸っぱくなるほど言ってきました。しかし、その必要性が理解できないのでしょうか。残念ながら、実行している企業は少ないと言えます。

 そしてそれ故に、「ITのプログラムは、どこが開発しても同じ」という、とんでもない誤解が生まれてしまっています。その結果、これまで開発を頼んできた企業に対し、根拠のない値引きを要求するようになります。そのときの第一声は決まっています。「予算が決まっているので」です。

 予算が決まっているというのは、前年度よりもコスト削減を達成するために予算が削減されており、それに合わせて発注額を減らすという意味です。しかし、だからといってエンジニアの仕事量が減るわけではなく、品質を落とすことが許されるわけでもありません。

 最終的には、末端のエンジニアの報酬を減らすわけにはいかないので、短期で終わらせるようにするしかありません(もともと、それを見込んで報酬を低めに設定しているというところもありますが……)。結果、世の中に多くの炎上案件が発生しているのです。