今回の新型コロナウイルス禍において、IT業界は飲食や宿泊などの業界に比べるとそれほどひどい状況にはなっていないと思います。しかし、自粛要請で自宅で待機するようになり、先行きに不安を感じているエンジニアも多いことでしょう。
こうした未曽有の世界的規模の危機の中で、エンジニアが何をすべきかについて考えてみたいと思います。
私がエンジニアという言葉にこだわる理由
IT業界にはさまざまな職種の人が関わっています。その人たちを大きく分けると、エンジニアと非エンジニアの2 つに分かれると思います。エンジニアは実際に自分でプログラミングなどを行って開発する人のことです。
私は、十分な開発経験のない人が開発について語るのは、料理した経験のない人が料理の味ではなく調理方法について語るのと同じだと思っています。それって少し滑稽ですよね。しかし、真偽を判別できない人々が十分な開発経験のない人の意見を鵜呑(うの)みにして支持することで、そうした滑稽な情報が世の中にあふれているというのが現実です。
そのため、私は今でも現役で開発する者として、可能な限り「自分はエンジニアだ」と名乗るようにしています。
エンジニアには無限の可能性がある
つまり、エンジニアとは自分で「ものづくり」ができる人です。このような社会の危機において、これほど心強いことはありません。まずは、自分には何ができるのかを考えてください。そして、すぐに行動してください。失敗しても構いません。
エンジニアというのは本質的に、開発することで成長するのです。たとえ結果が失敗であっても、自分の実力向上につながって、血となり肉となればよいのです。
素晴らしいことに、既に行動している先人がいます。例えば、jig.jp(東京・渋谷)創業者の福野泰介さんが立ち上げたサイト「COVID-19 Japan」*1があります。
*1 新型コロナウイルス対策ダッシュボードのURLはhttps://www.stopcovid19.jp/。
私も、新型コロナ患者のデータ分析や人工知能(AI)による分析を行うために、使えるデータをまとめて、各都道府県の患者データをデータベース化したサイト「COVID-19 DATABASE」*2を立ち上げました。
*2 COVID-19 DATABASEのURLはhttp://covid19db.info/。
このように、それぞれが自分のできることを考え、手を動かせばテクノロジーは世の中に多大な貢献ができ、コロナウイルスがもたらした災難を克服できると信じています。