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 車載のレーザーセンサーやステレオカメラは“目”となる。大きく2種類に分かれる。1つは光学カメラに基づく深度カメラ、またはステレオカメラ。もう1つは、主にレーザービームを走査して周囲の空間を把握するLiDARと呼ぶセンサーである。

“目”はカメラかLiDARか
民生品と車載向けセンサーが対決

 超小型EVまたはロボットの“目”として使われているセンサーは大きく2種類に分かれる。1つは、光学カメラに基づく深度カメラ、またはステレオカメラ。もう1つは、主にレーザービームを走査して周囲の空間を把握するLiDARと呼ぶセンサーである。低速/超低速の超小型EVでは、ステレオカメラ派とLiDAR派のメーカー、両方を併用するメーカーと選択が分かれている(図5)。

図5 ステレオカメラかLiDARか
図5 ステレオカメラかLiDARか
ステレオカメラまたはLiDARを用いている超小型EVの例(a)を示した。両方を使っている例もいくつかある。LiDARは製品によって測位距離が大きく異なり、数m程度から約100mまで様々(b)。現状のLiDARの価格は測位距離がおおよその目安になる。100mなら約100万円、10mなら約10万円となる。一方、多くのステレオカメラはおよそ20m以内が測位範囲。価格は数十万円以下である。(写真:パナソニックの自動運転EV、Gitaは各社)
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LiDAR(Light Detectionand Ranging)=主にレーザービームを走査し、出射光と反射光との時間差(Time of Flight:ToF)から測定対象の形状や距離を測定するセンサー。レーザー測位センサーとも呼ばれる。一部に、赤外光を照射するタイプもある。

 LiDARの多くはレーザービームを使うため、100m近く離れた対象も測距可能で、視野角は距離によらず180~360度と広い。測距の誤差も数cm以下と小さい。このため、高速道路向け自動運転車ではほぼ唯一の選択肢になっている1)。しかも、事実上の業界標準品である米Velodyne LiDAR社の製品は約300万円と非常に高価である。

 一方、ステレオカメラなどは価格が数万円台からと比較的安く、民生品でも利用例が多いが、測定可能な距離は一部の製品を除くと5~20m程度と短い。しかも測定距離と視野角がトレードオフになる。誤差も遠いほど大きくなり、数十cm以上の誤差が出ることもある。

高速で接近する対向車が課題に

 低速/超低速の超小型EVの多くは走行速度が約30km/時以下。歩道で人の散歩の速度である0~2km/時という超低速をメインターゲットとしている例もあり、高価なLiDARにこだわらないメーカーが一定割合出てきた。

 例えば、買い物カゴロボット「Gita」にステレオカメラを利用している米Piaggio FastForward社(PFF)は、米国での記者会見のインタビューで、「現在のLiDARは高すぎるが、メカレスになり、価格が大きく下がれば選択肢になる」と述べた。

 現時点でLiDARとステレオカメラの両方を利用するパナソニックは、「自らが低速でも車道では相手のクルマがスピードを出して接近してくるケースがある。そうしたケースに対応するには、測定可能距離の長いLiDARが必要になる」(同社)とする。ただし、「現在、ミリ波レーダーも含めたさまざまな組み合わせを試して、必要十分なシステムは何かを検証している段階。結果としてLiDARを使わない可能性もあり得る」(同社)という。

 LiDARおよびステレオカメラは、それぞれが現在進行形で機能や価格が変わりつつある。例えば、北陽電機のLiDARの幾つかは10万~数十万円と比較的安価で、荷台型EVへの採用例が多い。一方、ZMPのステレオカメラは、物体認識機能を備え、しかも0.005ルクスといった暗闇でも高精細なカラー画像が得られることをアピールする。ただし80万円(税別)とやや高価である。