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自動運転車、ドローン、産業ロボットなどで高速に変化する対象を撮像するセンサー解説の後編。生物の神経細胞にヒントを得て、10万フレーム/秒で140dBのダイナミックレンジでの撮像が可能という。前編はこちら

 これまで既存の撮像手法には代替手法がないものだと思われていたため、マシンビジョン業界から、動画を最適に取得する技術は数十年にわたってあらゆる応用においても出てこなかった。しかし今それが変わろうとしている。

 既存の撮像手法の欠点を踏まえて理想的な撮像手法を考えてみよう。

 動きや変化の速い部分を捉えた画素では高速にサンプリングし、遅い部分に対しては低速にサンプリングする。変化がなければサンプリングはしない。この処理を同時に実施する。共通のサンプリング速度を選ぶことは、結果としてあり得るものの、1つの選択肢にすぎない。

 ただし理想的な撮像手法には、どの画素で動きや変化が速いのかが事前には分からない問題がある。そこで各画素は、撮像している部分の動き・変化に応じてサンプリング周波数を合わせられるようにしておく必要がある。求められるのは、フレーム速度を共通とせず画素ごとに個別に決められる方式だ。

独自の2次元サンプリングを採用

 我々は、各画素が受けた光の量に応じてサンプリング速度を最適化する手法を開発した。これでサンプリング速度が、被写体とは無関係に人為的に固定されることはなくなる。振幅の時間変化に対して、より正確なサンプリングが可能になる。この手法による撮像データは、連続した静止画データではなく、各画素の変化に応じた時系列データになる(図4)。

図4 動きの変化を時間で表現
図4 動きの変化を時間で表現
動きをデータ化する手法を既存の技術と今回の技術で比較した。既存技術では時間的に連続した静止画データで表現する。今回の技術では、画素ごとに光量変化のタイミングをデータ化する。(図:Chronocam社)
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 ここで採用する振幅のサンプリング(レベルクロスサンプリング)は、これまでオーディオ信号のような1次元信号に適用することが研究されてきた。