2018年7月の西日本豪雨で土砂崩落に巻き込まれた高知自動車道の立川(たぢかわ)橋の復旧工事で、新しい再発防止策が取り入れられている。斜面の途中に設置した構造物で崩落する土砂の向きを変えて、橋への衝突を防ぐ「流向制御工」だ。
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現在、崩壊した斜面では、不安定な土砂の撤去や法面の吹き付けなどで、安定を図っている。ただし、崩壊した斜面の上や横が、崩れる可能性がないわけではない。
「土砂が流れ出た場合、途中で向きを変えて、橋脚間をくぐり抜けるように誘導する構造物を建設している」。西日本高速道路会社四国支社建設事業部の久保井泰博調査役は、こう説明する。
流向制御工には、高速道路の法面でよく見かける落石防護用の資材を使う。H形鋼を一定間隔で地盤に差し込み、それらの間には、リング状の鋼材が連なる強靭ワイヤネットを設置。アンカーで補強する。
「壁状の構造物にすると、崩落する土砂の衝撃で壁が飛んでくる可能性がある。水は抜けてもいいが、大きな土砂がうまく流れるようにするには、H形鋼とネットの組み合わせが最適だった」(久保井調査役)。橋の復旧が終わる夏までに完成させる予定だ。