橋を守るためには自治体へ協力要請も
高速道路の橋が崩落すると、復旧に要する費用は莫大で、ネットワークが遮断されることによる経済損失も生じる。立川橋の被災事例で、橋の管理者はどういう教訓が得られたのか。
西日本高速保全サービス事業部危機管理防災課の和田浩明課長代理は、「これまでも、地滑り防止区域といった自治体が持つハザード情報を確認しながら、土工部では順次、危険な箇所の対策を進めてきた」と話す。ただし、同社もさすがに、崩落土砂が橋梁の路面に流れてくるという発想はなかったという。
危険な箇所が分かったとしても、管理地内だけで対策を講じることができるわけでもない。西日本高速広報CS推進部広報課の山本武史課長代理は、「高速道路会社の管理地外で対策が必要であれば、自治体へ協力を要請することも必要になるだろう」と言う。
ただし、協力を受けた自治体が本当に対策を講じることができるのかは疑問だ。
立川橋の場合、流向制御工は西日本高速の管理地外だが、例外的に同社の予算で実施しているが、その他の対策工事は、斜面の大半を管理する高知県の事業だ(県は西日本高速に委託した)。ただ今回は、林野庁との協議の結果、立川橋の現場周辺にあった地滑り防止区域の指定地を拡大して、斜面崩壊箇所も指定地に含めることができたため、斜面での工事には国の補助が得られている。
四国の大動脈である高速道路を守るためとはいえ、全て県の負担で早期に災害防止工事を進めるというのは現実的ではない。県林業振興・環境部治山林道課の二宮栄一課長も、「県の単独事業では大変だったはずだ」と明かす。
地滑り防止事業の一環として斜面対策ができたのは、いわば特例だ。他の場所で危険地が見つかっても、同じ手法を採れるとは限らない。供用中の路線で今後、同様の対策を採用する場合、費用負担などの課題が残る。