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 西日本を襲った豪雨で甚大な被害を受けた広島県南部で、斜面崩壊が5000カ所以上で起きていたことが分かった。記録的な大雨によって、比較的崩れにくい山の尾根付近からも多数の崩落が生じた。広島大学と防災科学技術研究所の調査チームが7月16日に明らかにした。

広島県南部で斜面崩壊が生じた地点を赤色で示す。航空写真から手作業で読み解いた(資料:広島大学)
広島県南部で斜面崩壊が生じた地点を赤色で示す。航空写真から手作業で読み解いた(資料:広島大学)
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 調査チームは、国土地理院が7月15日までに公開した航空写真から斜面崩壊の発生地点を抽出した。写真上で、幅数十メートルの筋状に草木がなくなり、山肌が露出している箇所を手作業で記録。そのうち最も標高が高い場所を崩落の発生地点と見なし、分布図を作成した。

 広島県の江田島市から尾道市にまたがる1920km2の範囲で抽出できた斜面崩壊地点は5064カ所。広島県では過去に最大7000カ所以上の斜面崩壊が一度の降雨で生じた記録があり、今回はそれに迫る件数とみられる。

 市区町別では、東広島市が1632カ所で最多。呉市1177カ所、三原市843カ所、竹原市351カ所と続く。そのほとんどで、風化した花こう岩や流紋岩が表層崩壊を起こした。