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一部で柔軟な対応も

 なお、国交省は今回のダム操作について、必ずしも杓子定規の放流ではなく、一部で柔軟に対応した。

 多目的ダムでは通常、豪雨が予想される際には、できるだけダムにためられる容量を増やすため、事前に利水用に保持していた水を排出する「予備放流」を実施する。今回、鹿野川ダムでは、規則が定める予備放流水位よりも3.6m低い位置まで放流した。

鹿野川ダムの貯留概念図
鹿野川ダムの貯留概念図
(資料:国土交通省)
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 さらに、規則で定めるダムの最高水位を0.63m超えて貯水することで、緊急放流時の放流量を特別に流入量よりも最大で毎秒400m3程度少なくした。こうした対応によって鹿野川ダムは今回、5時間にわたって水をためることができた。これは、避難のために確保できた時間だ。

 「下流の避難時間を少しでも伸ばせたのではないか」と国交省四国地方整備局河川管理課の清水敦司河川保全専門官は話す。

7月19日の鹿野川ダム。豪雨で7000m3の流木が流れ込んだ(写真:日経コンストラクション)
7月19日の鹿野川ダム。豪雨で7000m3の流木が流れ込んだ(写真:日経コンストラクション)
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