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 1970年、東京大学宇宙航空研究所は人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功。これにより日本は、旧ソ連、米国、フランスに次ぎ、世界で4番目となる人工衛星打ち上げ国となった。そのロケットを打ち上げたところが、ここ鹿児島県肝付(きもつき)町の内之浦宇宙空間観測所である。

内之浦宇宙空間観測所M(ミュー)センターの全景。中央の箱形の建物がロケット組み立て室で、その左手前が旧発射管制室。設計はどちらも池辺陽。右のロケット整備塔は、1982年に建て替わった後のもの(写真:JAXA)
内之浦宇宙空間観測所M(ミュー)センターの全景。中央の箱形の建物がロケット組み立て室で、その左手前が旧発射管制室。設計はどちらも池辺陽。右のロケット整備塔は、1982年に建て替わった後のもの(写真:JAXA)
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 いわば日本の宇宙開発史における聖地だ。東京大学により1962年から段階的に建設され、現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設となっている。70年代初頭までに建設された施設群は、東京大学生産技術研究所の教授だった建築家の池辺陽(いけべきよし、1920~1979年)が設計した。

 ロケット発射場には、同じ鹿児島県内に後発の種子島宇宙センターもある。敷地面積を比べると、種子島が8.64km2なのに対し、内之浦は0.71km2と圧倒的に狭い。2000年代以降、大型の液体燃料ロケットを打ち上げる種子島が主流になりかけたのだが、2013年から小型衛星を搭載する新型の固体燃料ロケット「イプシロン」が内之浦から打ち上げられるようになり、再び脚光を浴びている。

発射装置から打ち上げられるイプシロンロケット3号機。2018年1月18日6時6分(写真:JAXA)
発射装置から打ち上げられるイプシロンロケット3号機。2018年1月18日6時6分(写真:JAXA)
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 施設は海に面した山地に分散している。米国のケネディ宇宙センターをはじめとして、世界の主要ロケット発射場は広大な平地にある。内之浦のような山中は珍しい。

(イラスト:宮沢 洋)
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