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折り紙のようなアルミ鋳物の外壁

 一番の見所は、「M(ミュー)センター」だ。ここは敷地内で最も広い平地で、ロケットの組み立て室や整備塔などがある。

M(ミュー)センターを見下ろす。世界の主要ロケット発射場は広大な平地にあり、内之浦のように山中につくられた発射場は珍しい(写真:JAXA)
M(ミュー)センターを見下ろす。世界の主要ロケット発射場は広大な平地にあり、内之浦のように山中につくられた発射場は珍しい(写真:JAXA)
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 一番大きな建物がロケット組み立て室で、ここで点検を終えた各段のロケットは、向かいのロケット整備塔へと運ばれる。その中にある発射装置上で組み上げられたロケットは、回り舞台のような機構で発射装置ごと屋外に出て、適切な角度に傾けられたのち、発射される。

 一般の見学者は内部に入ることはできないが、建物の30m手前ぐらいまでは近づくことが可能。整備塔の巨大な扉が開いて発射装置が現れる場面を想像すると、胸が高鳴る。

(イラスト:宮沢 洋)
(イラスト:宮沢 洋)
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 建築のデザインとして目を引くのは、やはりロケット組み立て室だ。外側を覆うのは1.92m四方のアルミ鋳物製パネルで、1枚1枚が折り紙のような立体形状になっている。これがつながって屋根から吊られたカーテンウオールとなり、その重量により片持ちで張り出した屋根にかかる力を均一にしている。大空間を最小限の材料で生み出す合理的な設計だ。

ロケット整備塔の中段からロケット組み立て室を見下ろす。組み立て室は、左側の壁全体が横にスライドして開くようになっている(写真:磯 達雄)
ロケット整備塔の中段からロケット組み立て室を見下ろす。組み立て室は、左側の壁全体が横にスライドして開くようになっている(写真:磯 達雄)
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(イラスト:宮沢 洋)
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 ちなみに取材中、一番盛り上がったのは、大きなスライドドアが開いたときだった。注意喚起のアナウンスが流れるのだが、テレビドラマの「ウルトラセブン」を見て育った世代なので、空耳で「フォース・ゲート・オープン!」と聞こえてしまう。完全にウルトラ警備隊の基地にいる気分に浸ってしまった。

運が良いと、組み立て室の壁がスライドして開く様子を見学広場から見ることができる。ウルトラマン世代は「ウルトラ警備隊基地」を連想せずにいられない(写真:磯 達雄)
運が良いと、組み立て室の壁がスライドして開く様子を見学広場から見ることができる。ウルトラマン世代は「ウルトラ警備隊基地」を連想せずにいられない(写真:磯 達雄)
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これはJAXAからお借りした写真。ロケット組み立て室から整備塔へと運搬されるイプシロンロケット3号機の第1段(写真:JAXA)
これはJAXAからお借りした写真。ロケット組み立て室から整備塔へと運搬されるイプシロンロケット3号機の第1段(写真:JAXA)
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 組み立て室の内部や、構内の他の施設は後編で。